「10浪で東大合格」も"入学辞退"彼の決断の裏側 長年の目標を達成した一方で芽生えた新たな夢

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学生生活最後の受験を不合格で終えた4年生の彼は、23歳になっていました。

「進路を考える時期になって、現実逃避ができなくなりました。いくら自分が受験だけにこだわりたくても、社会はそれを許してくれません。だから『持たざるもの挑戦すべからず』という状況を受け入れ、仕事で使えるような複数の資格を取り、社会経験を積みながら受験費用を貯めようと思いました

「社会的待遇や社会での出遅れを懸念して一時撤退するけれど、いずれ必ず戻ってくるつもりでした」と語るように、彼は受験を決して諦めず、社会人になってからもずっと受験勉強を続けました。

6浪以降、社会に出た彼は働きつつ、9浪までの3年間を資格や社会人スキルを身につけることに重点を置きます。また、受験以外で諦めかけていた、恋愛・趣味・歌唱・体力づくりのためにも積極的に行動しました。

「この期間はいろいろ手を出すとキャパオーバーになるので、旧帝大や神戸大学などの入試問題を解いていました。成績を落とさないために、やる問題を少なく設定し、わからない問題をじっくり考える訓練をする時間を取りました。失敗は慣れっ子だからもはや怖くありませんでした。

ここまで頑張れたのは『出世や協調性などどうでもいい』『周囲を全部敵に回しても構わない』『とにかく個人で戦っていくためのブランドがほしかった』からでした。仕事の無駄を究極に削り、勉強だけではなく各方面での自己研鑽に励みました」

3年間、落ち続けた理由と向き合った

仕事をしながらの受験勉強は過酷で、多くの人は成績を維持できません。それでも彼は、この3年間で自分が落ちた理由を分析し、受験を突破する糸口をつかんだと言います。

「この期間は時間が取れなかったので、勉強をガリガリしていたというよりは解けなかった理由をつねに考えていたのです。なぜこの問題が取れないのか、どうしたら取れるのかをずっと考えて試行錯誤する日々でした。

すると、9浪目の冬に活路を見いだしたのです。私は今まで、国語や英語、地理などでいい点数が取れないから、これらの科目はできないと決めつけて理数系で点数を稼ごうと思っていたんです。

独学を貫いて、苦手科目に本気で向き合わなかったから落ちていたんですね。軽視していた文系科目を本気でやれば点数が取れるということに気がついて、希望が見えました」

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