「起業は自己実現、でも経営は修行」である理由 元起業家・起業家・私設図書館長が組織論を語る

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青木:やっぱり2人のお話を聞いてると、「会社をやる」って思わないほうがいいんじゃないかっていう気がしてきますね。平川さんも運動体みたいな段階のときはモチベーションが維持されている。慎吾ももしかすると、会社をやって売り上げをどんどん上げていきたいというよりも、運動として社会をよくするためにやっている部分が強いんじゃないかと思う。

栗原:そう。先ほど平川さんも、自分がやりたいのは会社じゃなくてコミュニティーなんだとおっしゃってたと思うんですけど、自分もまさにそうなんです。それがどのレベルまで、どのくらい規模感までいけるのか。真兵は見てると思うけど、POPERってコミュニティーな要素がまだ残ってるじゃない。これをどこまで残しながらいけるのか。

起業家精神は表現活動に近い

平川:やっぱり栗原さんはアントレプレナー、要するに起業家なんだよね。通常の場合の起業家は、起業はするけどその後の経営はもうしないんだよ。上場したら、ファウンダーとしてストックオプションをもらってもう辞めちゃうの。その後の経営って全然違うからさ。アントレプレナー精神なんてないからね。現場はほんとに数字合わせとか細かいどうでもいいような仕事をやらなきゃいけないのが現実だからさ。

あと70人とかいると、人間同士の関係調整。あいつとあいつが仲悪いとか。給料も俺が決めてたけど、なんで自分は彼より下なのかとか言われて。めんどくせぇから俺、数式作ったのよ。その数式に当てはめてやったら全然実態とそぐわない数値しか出てこない。エビデンスベースドなんてのはまやかし。印象と実感を取りこぼしてしまうからね。だから難しいんだよね。

青木:起業家精神は表現活動に近しいということなんでしょうね。

平川:起業家はそうだよ、ロマンチシズムで。ああしたいこうしたいって金引っ張ってきてね。それは僕もすごい興味があった。やってて面白かった。だから俺十いくつも会社立ち上げたんだけどさ。それが仕事だったんだよ。だけど持続させていくのは全然違う話。それから第2次成長、さらに発展させていかねばならない。その段階によってやるべきことが全然違うんだよね。でもその道のプロみたいなのを連れてくると、会社の文化は死んじゃうからね。お話をお伺いしていると、栗原さん自身に文化があるから会社の文化がありそうだね。企業文化は大事だよ。

青木:企業文化を保ったまま、市場のニーズとか株主のニーズに囚われず、身の丈の成長を目指したいんですけれど。

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