「起業は自己実現、でも経営は修行」である理由 元起業家・起業家・私設図書館長が組織論を語る
平川:前に『株式会社という病』を教科書にしていますっていう会社があったけど、やっぱり上場したらやめちゃったもんね。やっぱりそういう風にせざるをえなくなっちゃうのよ。とくに株主が、平川の本なんか許さないわけですよ。
「帳尻合わせ」を内在的に必要とする制度
栗原:そこに自分は挑戦していきたいと思っていて。例えば短期的な投機目的の株主の目線からすると、ある会計年度の利益が上がっていれば株価が上がるから、どんな手段であっても利益を上げてほしいと思っているのだろうなと、私たちのような経営者は考えるわけです。
例えば3カ月先の売り上げをこっちに持ってきて帳尻を合わせるみたいなことをする。それをやらなかったら下方修正になっちゃうから株主から怒られるだろう、株価も下がるだろうっていう恐怖心の延長線上に現在のよくない株式会社の状態があるんじゃないかと思っていて。
平川:今何人くらいでやってるの?
栗原:今は70人ですね。
平川:売り上げはどれくらい?
栗原:8.3億円程度です。今回これは本質的じゃないよねっていうことで、下方修正したんですよ。
平川:そんなことできるの?
栗原:しました。
平川:進行基準で厳しいんじゃないの?
栗原:厳しいんですけど、でもそれは自分たちがこれまでやってきたことが、別に間違ったことをやっているとは思わないから。どう反応されるかわからないからやってみようと。でももし自分が今回無理して売り上げをつくるために先々の売り上げをこっちに持ってくるみたいないことをしてしまったら、たぶんずっと帳尻を合わせ続けなければならないなと。そういう負のスパイラルに入ってしまう分岐点もあるんじゃないかと思っていて。これをこの先もずっと続けられるかどうかですね。
平川:そうか。でも売り上げが200億、300億円ぐらいまではやっぱりキツイよね。500億円ぐらい突破するといろんなところに資産も溜まってるから揺るがなくなるんだけど。売り上げ10億、20億円っていったら自転車操業的なところもあるから本当にキツいと思うよ。よくやってるよ、たいしたもんだよ。