2024年に家を買う人が知っておきたい業界事情 消費者も"自衛"、信頼できる業者の見極め方

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注文住宅の場合、施工会社の選定から引渡しまで含めると本来は1年半~2年を要するものであり、順調に進んでも1年はかかるものだ。ところが中には、夏に施工会社の選定を始めたのに、「3月には引き渡せる」と言ってくる業者も存在する。極端な短納期を提案してくる場合は、設計や施工のクオリティー低下につながりやすいと覚えておこう。

同様に会社都合で契約を急かす業者にも注意が必要だ。自社の決算期に間に合わせるために受注を積み上げたい、などの背景が隠れている場合もあるためだ。また、契約を急かすということは、経営状態に何らかの問題を抱えている可能性も否定できない。

一方、そもそも値引きを前提とした価格が設定されていることもある。すべての値引きが悪いわけではないが、過度な値引きは業者都合の思惑が隠れているケースもあるので注意が必要だ。

いずれにせよ、「住宅を建てる」「住宅を買う」主導権が購入者ではなく、業者や営業担当者側に移っているのは望ましい状態とは言えない。自分や家族の幸せ、理想の暮らしのために家を建てるのだから、主体性を持って対応するのが第一だ。

自分たちの家づくりにはどのような過程が必要なのか、逆に何が要らないのかを認識していれば、値引きやスケジュールに心を惑わされなくなるだろう。場合によっては、分譲住宅や中古住宅などの選択肢を検討するのも一案だ。

現場を見せない会社に要注意

さて無事契約を済ませ、工事が始まる際には着工金(工事着手金)を支払うことになる。その後も工事の進捗に合わせ、上棟時に中間金、引き渡し時に竣工金と、土地代を別として3:4:3のような割合で分散して支払うのが一般的だ。

そのため、最初の着工金で「7割」の支払いを求められたり、契約時の手付け金から多くの金額を要求されたりする場合は気をつけたほうがいいかもしれない。会社の経営に難があり、キャッシュを必要としている可能性もあるためだ。

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