若手の「びっくり退職」に上司が気がつけない事情 周囲が驚く「突然の退職」が増えている背景3つ

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「びっくり退職」が増えている3つ目の理由は、本人のマジメな性格が原因だ。昔なら、退職を決めたあとはもう「消化試合」である。

「退職を決めたんだから、やる気はゼロ」

「会社に貢献したくないし、言われた以上のこともしたくない」

という気持ちになり、その気持ちが態度にも表れる。だから周りが気付くのだ。

「なんか最近おかしい」

「仕事を辞める気なんじゃ?」

といった臆測が広がる。ところが、最近の若い人はマジメだ。「立つ鳥跡を濁さず」の精神でがんばろうとする。

「なんだかんだいって、お世話になった会社だ。あと3週間、できる限りのことをやろう」

なんて張り切ってしまう。そのせいで、周りを驚かせてしまうのだ。

「先月ぐらいから、目の色を変えてがんばってたじゃないか。どうして突然退職するなんて言うんだ?」

と聞いても、こう返される。

「退職すると決めたからこそ、がんばってるんです」

まるでオリックスの山本由伸投手(25歳)のようだ。山本由伸投手は、今年(2023年)の日本シリーズ第6戦で、シリーズ最多となる14奪三振を記録。シリーズの行方を大きく左右するゲームで、大きな1勝をチームにもたらした。

オリックスを去ることを決めていたのにもかかわらず、山本投手は「最高傑作」と言われるほどのピッチングをしたのである。

山本由伸投手と比べるのはお門違いかもしれない。だが最近の若者はこのようにマジメなのである。だから私たちは「びっくり」させられる。

「びっくり退職」を防ぐ2つのポイント

それでは「びっくり退職」を防ぐにはどうしたらいいのか? 次の2つのポイントは押さえておこう。

(1)入社と同時に退職に関する約束事をする
(2)常に未来の約束事について対話する

当然のことながら、本人と対話を繰り返したり、環境を整備するなどの努力は不可欠だ。その努力を怠っておいて、

「まさか退職するなんて」

と驚かれても困る。その態度のほうが「びっくり」だ。手厚くフォローしたり、成長できる環境を整えることは当たり前。それだけの努力をしても「びっくり退職」はなくならないのだ。

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