苦戦する「日本アパレル」、値上げする"4つの秘策" 「一律の値上げ・値下げ」はNG!では、どうする?

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① 顧客のWTP(Willingness to Pay)に基づいた値決め

WTP(Willingness to Pay)とは、顧客が商品に対していくら払えるか、払える金額の最大値を見定めて値決めをするという考え方です。

別の言い方をすると、生活者から見た“価値”ベースの値決めです。

掛け率から判断する原価ベースの値決めとは真逆のアプローチと言えます。

アパレルで「一律の値上げ・値下げ」は不向き

たとえば、掛け率や過去の慣習から1万4200円で売っているニットがあったとします。

これをWTPに基づき分析すると、1万4900円でも売れる数量はほとんど変わらないということがあります。このWTPの上限を見極めた価値ベースの値決めが粗利を増やす第一のポイントです。

ここで大事なのは、どこまで価格を上げるとWTPが下がるか、売れる数量が大きく減るかは、アパレルの場合、カテゴリーやSKU(色やサイズ違いを考慮した商品の最小管理単位)によって変わります

そのポイントを「価格の崖」と呼びます。

値上をした際に生活者の購入意欲が下がる分水嶺は、カテゴリー・アイテムにより異なる。アパレルでは、カテゴリー・商品特性に応じた木目細かい価格調整が必要(出所:A.T.カーニー)

アパレルの場合、インナーウェア、シャツ、重衣料、靴・アクセサリーなど、カテゴリーが多岐にわたりますので、各カテゴリーやSKUによってWTPの上限である「価格の崖」が異なり、それらをしっかり見極めることが値決めのうえで重要です。

したがって、一律の値上げや値下げといったアプローチは、アパレルにおいては不向き、悪手となります。

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