佐藤正久氏「ガザ地区民間人避難へ自衛隊参加を」 各国による「海上回廊」の設置を検討すべき

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梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):イスラエルのコーヘン駐日大使は、番組のインタビューの中で、戦闘終結後のガザ地区の扱いについて次のように話した。

コーヘン大使:イスラエルはガザにとどまるつもりはない。イスラエルはガザを支配したくない。パレスチナ人は私たちと同じようにガザ地区で自由であるべきだ。

玄葉氏(写真:FNNプライムオンライン)

ガザの今後について

梅津キャスター:「イスラエルはガザを支配しない」ということだが、実は、イスラエルはガザの今後についていくつかの具体的なプランを練っていることがわかった。

イスラエルの諜報省からある文書が流出した。ヘブライ語で10ページにわたるもので、表紙の右上にはイスラエル諜報省のロゴが付いている。文書の見出しには「政策文書:ガザの民間人口の政治的方針の選択肢」と書かれている。200万人以上のガザ住民への対応策について三つの選択肢が示されている。A案は、ガザ住民をガザに残して、ヨルダン側西岸のパレスチナ自治政府によって統治させるもの。B案は、ガザ住民をガザ地区に残して、ハマスではないガザ住民に新たに統治させる、というもの。そしてC案は、ガザ住民をエジプトのシナイ半島に避難させるというもので、この案については統治については触れられていない。文書では、この3つの選択肢の実現性についても触れている。A案とB案については「実現不可能」とする一方、C案は「実現可能」としている。シナイ半島でガザ住民用のいわゆる「テントの町」をつくり、そことガザとの間に数キロの無人地帯を設けて、ガザ住民がイスラエルの国境近くに戻って活動をしたり、居住したりできないようにすると記されている。中東ジャーナリストの川上泰徳氏は「流出文書によると、ガザ住民の避難は一時的なものではなく永久的措置として考えている。ガザ避難民を難民にしようとしている」と指摘している。エジプトの国家情報局長官は「パレスチナ人をエジプト領内に強制移住させることは決して受け入れない。イスラエル側の計画や文書は受け入れることはできない」と反発している。文書には、イスラエルがシナイ半島にガザ住民を移動させようと計画を進めていることが分かる記述もある。まず「住民に戦闘地域からの避難を求める」、そして「第一段階では、ガザ北部に空爆を集中させ、住民が避難し、地上戦を可能にする」、「第二段階では、地上戦で北部から徐々に軍事的に制圧をして、最後にガザ全体を制圧、地下トンネルも制圧する」とある。ネタニヤフ首相は10月30日に「戦争は第二段階に入った」と宣言した。このまま計画が進み、このC案が実際に遂行されたらどうなるのか。川上氏は「最悪の場合、エジプトのシナイ半島にヨルダン川西岸の自治政府とは異なる『第2パレスチナミニ国家』ができるのではないか」との見方を示した。

松山キャスター:停戦後のガザの統治をどうするか。イスラエル政府がこうしたことを検討している中で流出したとみられる文書のようだ。イスラエル政府はこの文書について「予備的な調査の色合いが強く、政治や安全保障レベルでよく準備される文書だ」という言い方で、文書の存在は否定していないようだ。C案は、ガザ地区の住民をエジプトに避難させて永久に戻れないようにする内容で、この案が「現実的」と判断されているようだが、エジプトは当然反発し、国際社会もなかなか受け入れられないのではないか。

佐藤氏:現実性はかなり少ない案だと思う。エジプトが受け入れたら、パレスチナ難民をガザから追い出すことをエジプトが助けることになる。第2の「ナクバ」(1948年のイスラエル建国で居住地を追われたパレスチナ人が難民になったこと)的なことにエジプトが加担したと、アラブ社会、イスラム社会から相当な批判を浴びる。エジプトはスーダン難民、パレスチナ難民をすでに十数万人受け入れているから、これ以上負担を増やしたくないはず。このC案をエジプトは絶対飲まないので非現実的だと思う。A案もイスラエルにとってはあまり望ましくない。要はハマスというのはイスラエルにとって必要悪だ。イスラエルにとっては、ヨルダン川西岸地区とガザ地区で統治者が異なるほうがいいわけだ。

梅津キャスター:どうしてか。

佐藤氏:バラバラで統一できないから。西岸は今のパレスチナ自治政府で、ガザはハマスに代わる勢力の方がいい。だからA案はかなり評価が低い。B案も評価は低いが、A案よりはまだB案は実際的だと思う。

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