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宝塚「法的正当性に終始」で遺族を否定した悪手 組織へ忖度、聞き取り調査の有効性に疑義

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  • 増沢 隆太 東北大学特任教授/危機管理コミュニケーション専門家
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劇団員の方々自身も、労働者や業務請負という認識より「生徒」というアイデンティティを強く持っていると思われます。しかしながら今は、芸能芸事における徒弟関係や精進であっても、労働として扱わなければならない時代です。労働基準法は強制法規なので、日本国内で稼働する全法人を拘束します。

ハラスメント的な行為を含め、こうした特殊な事情もあったと類推できます。時代はコンプライアンス違反を認めないことが標準となりました。芸能界だけが特別扱いを受けることはもはや無理でしょう。劇団側も過重労働は素直に認め、業務の見直しなどに取り組む宣言をしたのは当然の帰結です。

宝塚大橋から望む宝塚大劇場(写真:PIXSTAR/PIXTA )

芸能人も労働者とするコンプライアンス

今回の事件で、宝塚歌劇団は、危機対応コミュニケーションと同時に、芸能におけるコンプライアンス実現という異なる課題を抱えてしまいました。

法的正当性に終始した説明は、遺族側の納得感を醸成するためには悪手だったと感じます。法律的責任を超えた、犠牲者への寄り添いをもっと伝えるべきでした。

一方、芸能の世界においても過重労働となるようなものは認められないと、明確になった契機でもあります。「芸事だから特別」が許されないことを、犯罪行為はもとより労働環境にまで広げて認識させられたという点で、この事件は宝塚歌劇団だけの問題では終わらない、一つのターニングポイントとなるでしょう。

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