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宝塚「法的正当性に終始」で遺族を否定した悪手 組織へ忖度、聞き取り調査の有効性に疑義

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  • 増沢 隆太 東北大学特任教授/危機管理コミュニケーション専門家
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会見のポイントとなったのは、①上級生によるいじめやパワハラ、②過重労働です。

事前の報道で一気に注目を集めたいじめやパワハラについては、「確認できなかった」という表現で事実上の否定となりました。一方の過重労働については、「安全配慮義務を果たしていなかった」と、その実態を認めました。

注目されたヘアアイロンを押し付けたという暴行は確認できていないということで、亡くなった団員の方へのパワハラ行為は、報じられた他の行為を含め否定されました。それらを証明する証拠がないという理由からです。

この会見終盤で発せられた村上浩爾専務理事による「証拠を見せてほしい」という言葉が波紋を呼んでいます。その村上氏は、会見後、引責辞任する木場氏の後任の理事長に昇格となることが発表されました。

遺族側を否定する発言は避けるべき

ここで重要なポイントは、ハラスメントに限らず、危機対応コミュニケーションでは、単に法律的な白黒がつけば済むというものではないことです。事業責任は法律の範囲を超えて大きく主体者にのしかかっていると考えるべきです。法的には間違っていないかもしれませんが、危機状況下において、遺族側を否定することになる「証拠を見せろ」という発言は避けるべきメッセージだったと言えるでしょう。

今回の会見の根拠となったのは外部調査報告です。それは上級生など関係者からの聞き取りにより構成されました。その中でハラスメントと認められる確証は得られなかったということです。しかし、劇団、それも歴史と伝統のある組織において、自発的に自由な発言ができるとは考えにくく、単に面談調査をしただけで事実認定とすることに無理はないでしょうか。

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