スパイ容疑で中国に拘束された日本人を救う方法 反スパイ法で逮捕された日本人男性に懲役12年
しかし、中国で起訴されてしまえば釈放される可能性は極めて低くなる。これまでの拘束事案では、日本政府は中国側に対して早期解放を要求しているが、前述の例を除き早期解放には結びついていない。
まず、CISTEC(安全保障貿易情報センター)が示しているように、カナダが2021年2月に発表した、国家が主体となって“外交ツールとして外国人を恣意的に拘束”することに反対する宣言「二国間関係における恣意的拘束の利用に反対する宣言※」に基づき、毅然と即時解放を求め、共通の懸念を持つ関係国と連携して中国などに対し強い姿勢を示すほか、具体的な邦人保護の方針を示すべきである。
※日米欧など58カ国が署名。同宣言の背景には、2018年12月に華為技術副会長の孟晩舟が詐欺容疑でカナダで拘束された後、その報復として中国がカナダ人元外交官と起業家を逮捕した事件がある。
また、アメリカには不当拘束の認定手続きなるものが存在するとCISTECは紹介、筆者も同様の趣旨の認定制度を導入すべきであると考える。
アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙記者がロシアでスパイ容疑で拘束されていることを巡り、アメリカ国務省が同記者を「不当拘束」と認定している。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、不当拘束として認定を受けることで、例えば国務省内の人質問題担当特使の部署に委ねられ、釈放に向け多くのリソースが割り当てられるという。
そして、不当拘束に対し、「人権侵害」であると国として明確に位置付けるべきである。
人質交換という手段
不当拘束に対する有効な手立てに“人質交換”がある。
2018年、カナダにおいて詐欺容疑で逮捕された華為技術副会長の孟晩舟をめぐり、中国は同氏を釈放させるためにカナダ人のマイケル・スパバとマイケル・コブリグをスパイ容疑で拘束。中国はカナダ人2人の解放と同時に、孟氏の解放を実現させた。
また、バイデン政権では、ロシアで逮捕されモスクワの刑務所に収監されていた女子プロバスケットボール選手のブリトニー・グリナーを、アメリカで服役中だったロシアの大物武器商人ビクトル・ボウトと引き換えに解放させている。
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