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中国駐在員を震え上がらせる反スパイ法【前編】 営業の情報収集も罪に問われる可能性あり

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営業の情報収集もできない! 中国の反スパイ法が波紋を呼んでいる。

スパイを通報するように指導する教育現場の様子
教育現場ではスパイを通報するように教えている(写真:Getty Images)

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李克強前首相の突然の死、日本人駐在員の逮捕など不吉なニュースが続く中国。経済成長が鈍化し、直接投資が初のマイナスになった「世界の市場」から企業が逃げ始めた。
『週刊東洋経済』11月18日号の第1特集は「絶望の中国ビジネス」。共産党が経済よりも大事にしている「国家安全」は中国をどう変えていくのか? 日本企業のビジネスへの影響は? 匿名座談会や特別対談など、豊富な記事でその答えをお届けする。
『週刊東洋経済 2023年11/18特大号(絶望の中国ビジネス)[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

習近平政権の強権ぶりが、中国の国民や企業だけでなくいよいよ外国企業にも向かってきた。中国に進出する日本企業の間では、自社の駐在員や出張者がスパイの容疑で拘束されないかと危惧する声が広がっている。

10月、アステラス製薬の現地法人幹部の日本人男性社員が逮捕された。この社員は3月、北京勤務を終えて帰国する直前に治安当局に拘束された。その後、約半年間、当局の施設に監禁されて取り調べを受ける「居住監視」を経て、9月に刑事勾留されていた。

居住監視、刑事勾留は中国独自の手続きで、この期間に「証拠があり、懲役以上の刑が見込まれる」と判断されると正式に逮捕される。反スパイ法違反とされているが、具体的な嫌疑内容は不明だ。

拘束された日本人は17人

この社員は駐在歴が通算20年以上で、日系の企業団体「中国日本商会」の副会長も務めたベテラン。それだけに、中国ビジネスに携わる日本人の間では動揺が広がった。

次ページ7月に改正反スパイ法が施行
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