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中国駐在員を震え上がらせる反スパイ法【後編】 「データ3法」と連動し、当局の摘発が容易に

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反スパイ法とデータ3法に潜む罠。「重要データ」は摘発対象に。

ノートパソコンと南京錠
(写真:lukjonis / PIXTA)

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李克強前首相の突然の死、日本人駐在員の逮捕など不吉なニュースが続く中国。経済成長が鈍化し、直接投資が初のマイナスになった「世界の市場」から企業が逃げ始めた。
『週刊東洋経済』11月18日号の第1特集は「絶望の中国ビジネス」。共産党が経済よりも大事にしている「国家安全」は中国をどう変えていくのか? 日本企業のビジネスへの影響は? 匿名座談会や特別対談など、豊富な記事でその答えをお届けする。
『週刊東洋経済 2023年11/18特大号(絶望の中国ビジネス)[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

日本企業にとって切実な懸案は反スパイ法だけではない。今年、大きな課題だったのが個人情報の国外移転への対応だ。

サイバー空間の法規制については、データ3法と呼ばれる法律が整備されてきた。サイバーセキュリティー法(17年)、データセキュリティー法(21年)、個人情報保護法(21年)だ。

個人情報保護法では、中国の子会社が持つ社員や取引先などの個人情報を、日本の本社が社内システムを通じて閲覧する場合も「越境移転(国外移転)」になり、事前に当局の承認を得る必要がある。ただしその手続きが複雑で、外国企業は対応に追われていた。

告知や本人同意の取得を義務づけ

個人情報の国外移転の手続きはいくつかあるが、最も多く利用されると想定されていたのが「標準契約」だ。これは告知や本人同意の取得を義務づけ、所定の雛型に従って契約を結ぶことで移転に同意したと見なす仕組みだ。

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