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中国は日本の"失われた30年"を再現するのか リチャード・クー&津上俊哉「特別対談」

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日本に深い傷を残した「バランスシート不況」が中国を襲っている。

リチャード・クー氏と津上俊哉氏
練達のチャイナウォッチャーである津上俊哉氏(左)と、バランスシート不況という言葉を生み出した伝説のエコノミスト、リチャード・クー氏(撮影:梅谷秀司、尾形文繁)

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李克強前首相の突然の死、日本人駐在員の逮捕など不吉なニュースが続く中国。経済成長が鈍化し、直接投資が初のマイナスになった「世界の市場」から企業が逃げ始めた。
『週刊東洋経済』11月18日号の第1特集は「絶望の中国ビジネス」。共産党が経済よりも大事にしている「国家安全」は中国をどう変えていくのか? 日本企業のビジネスへの影響は? 匿名座談会や特別対談など、豊富な記事でその答えをお届けする。
『週刊東洋経済 2023年11/18特大号(絶望の中国ビジネス)[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

1990年代初頭の不動産バブル崩壊を機に、経済の長期停滞に苦しんだ日本。中国は日本と同じ道をたどるのか。

バランスシート不況という言葉を生み出した伝説のエコノミスト、リチャード・クー氏と、練達のチャイナウォッチャーである津上俊哉氏が中国経済の前途を語り尽くす。

──中国経済の現状をどう見ていますか?

クー 6月末に、香港で中国経済について講演を行った。バブル崩壊後の日本と同じように、「バランスシート不況」に陥らないように中国は早く手を打つべきだ、と話したところ、動画が流出してあっという間に100万回再生された。

その後、中国に行く機会が2回あったが、やはり現地のエコノミストの危機感は非常に強い。

学者、経済界が危機感

バランスシート不況は、不動産をはじめとした資産価格が大きく下がり、将来も上がらないという状況から始まる。GDPが伸びるには、誰かがお金を借りて自分の収入以上に使わなければいけないが、みんな貯金ばかりして、デフレ経済に入っていく。

習近平に言わせれば構造改革なのかもしれないが、不動産をはじめさまざまな規制を強化して、本当に将来は大丈夫なのかと、学者、経済界が危機感を持っている。

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