「匿名座談会」駐在員が語る監視社会中国の恐怖 反スパイ法と"データ3法"で情報統制が強化

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「絶望の中国ビジネス」特集バナー
個別取材を座談会形式で構成した
李克強前首相の突然の死、日本人駐在員の逮捕など不吉なニュースが続く中国。経済成長が鈍化し、直接投資が初のマイナスになった「世界の市場」から企業が逃げ始めた。
『週刊東洋経済』11月18日号の第1特集は「絶望の中国ビジネス」。共産党が経済よりも大事にしている「国家安全」は中国をどう変えていくのか? 日本企業のビジネスへの影響は? 匿名座談会や特別対談など、豊富な記事でその答えをお届けする。
『週刊東洋経済 2023年11/18特大号(絶望の中国ビジネス)[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

反スパイ法や電子データの移動に制限を課すデータ3法など、中国では情報統制が強化されている。現地駐在員や中国ビジネスに関わる会社員に監視社会のリアルや中国ビジネスの現状を聞いた。

[参加者PROFILE]
 Aさん 40代男性・IT営業職
 Bさん 50代男性・企画部門
 Cさん 30代男性・営業職
 Dさん 40代男性・営業職

──反スパイ法やデータ3法はビジネスに影響はありますか。

A データ3法関連の仕事が増えていたが、9月末に新たなパブリックコメント案(編集部注:1年間で国外へ提供する個人情報が少ない場合、手続きが簡素化される)が発表され、対象企業が大幅に減った。危機感をあおって仕事を取っていた競合企業は、契約解除などの話が増えるだろう。われわれとしては獲得する案件は選別している。機密情報が含まれるデータ分析や日本企業へのデータ提供などは危険なので控えている。

もはや読む意味はない

B 以前、リポートをウィーチャットで送信したところ、相手先に届かないことがあった。おそらく政府要人の名前などが入っていたためブロックされたのだろう。スパイと疑われる可能性があるため、政府関係者とのコンタクトも難しくなった。だから中国発のリポートは機微に触れる情報がなくなり、もはや読む意味はないだろう。

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