「匿名座談会」駐在員が語る監視社会中国の恐怖 反スパイ法と"データ3法"で情報統制が強化
情報をやり取りする仕事は政府から監視されており、気苦労が多い。中国政府が厳しくなったのは、2013年のスノーデン事件(米国のスノーデン氏によって世界各国の機密情報などが暴露された)がきっかけだと思う。あれで米国の諜報活動の実態がよくわかり、中国は防諜の必要性を改めて認識したのではないか。
C 直接的な影響はないが、ある日本企業では現地法人の部署の名前を変えたと聞いた。「調査」を「研究」にしたそうだ。調査だと機密情報を探る部署との誤解を与えかねないからだそうだ。また本社(日本)の投資意欲が下がっているため、新規事業の提案などをしても反応が鈍い。現在の日中関係を考えると、投資がかさむ事業は難しい。撤退がすぐできるよう資産を抱え込まない事業のほうが現実的だろう。
D 私の見方は3人と違う。サイバーセキュリティー法など、政府の情報管理は以前から厳しかった。年々、内容が厳しくなっているだけで、予想はできたはずだ。日本企業が中国撤退をする言い訳にこれらを使っているだけだと思う。消費財の技術はすでに中国企業に追いつかれており、マーケティングにおいても日本企業は太刀打ちできない状態になっている。
原発処理水の問題は注意
──10月には中国で日本人がスパイ容疑で逮捕されました。
A アステラス製薬社員が拘束された直後は、駐在している日本人の間での緊張が高まった。医療分野や半導体など中国政府が注力をしている業界の関係者は注意が必要だと思う。ただ地域によっても受け止め方の違いはあるようで、北京の駐在員はピリピリしていても、上海ではそうでもない。もっと南の広東省になると全然気にしていない人もいるようだ。
C われわれのような、若手・中堅はあまり関係のない話だと思っている。だが、原発処理水の問題は注意が必要だ。日本の報道を引用し処理水は科学的に問題ないというような発信をすると、当局から目をつけられると聞いた。
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