「匿名座談会」駐在員が語る監視社会中国の恐怖 反スパイ法と"データ3法"で情報統制が強化

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

B 拘束されやすい人には特徴がある。中国駐在歴が長い人、そして語学力が高く、中国人と突っ込んだやり取りができる人だ。まあ、現実にはそんな人材はごく少数だから、普通の駐在員は心配しなくていいともいえる。これまでに捕まった人の多くは日本の公安調査庁と接点があったといわれている。そういう背景がなければ、過度に心配する必要はないだろう。

中国の役人との接点がリスクになることは認識しておく必要はある。役人たちとの以前はセーフだった交流が、今は違法と判断されかねない。講演をすると、中国の役人たちから「ぜひ話を聞かせてほしい」と言われて会食をすることがあったが、最近は気をつけている。また中国政府関係者も外国人との会食に応じる機会が減っており、交流自体が減ったと思う。

D 消費財は政府にとって位置づけが低く、拘束されることはないと思っている。一方でブランドを潰される可能性はあるだろう。有名消費財ブランドの担当者でハニートラップに引っかかっている人がいる。いかがわしい接待を受けていることがSNSで拡散されれば、ブランドのイメージは崩壊し、不買運動につながりかねない。業界を見渡すと、もう少し考えて行動したほうがいい人がいる。

中国企業のアプリは使わない

──情報流出について気をつけていることはありますか。

C 中国政府にとって敏感な内容はウィーチャットで連絡を取らない。例えば10月に李克強前首相が亡くなったが、そのときはLINE(ライン)を使った。

A 業務の情報交換はできるだけ、中国企業のアプリは使わないようにしている。日本側との情報のやり取りは取引先が指定したVPN(=仮想専用線。通信を暗号化でき安全性が高い)を使っている。ただ、現地スタッフはウィーチャットで仕事をしていると思う。すべて徹底するのは難しい。

次ページスマホを重要会議には持ち込まない
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事