「匿名座談会」駐在員が語る監視社会中国の恐怖 反スパイ法と"データ3法"で情報統制が強化

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D 基本的に情報はすべて流出していると考えている。信頼できる取引先であれば情報はすべて開示している。隠すより中国企業に追いつくことのほうが大事だ。

B 中国当局はスマホを勝手に起動して盗聴器に仕立てる技術を持っているという噂がある。正しいかどうかわからないが、用心のために重要な会議のときはスマホを持ち込まないようにしている駐在員がいる。スマホの位置情報をつかまれたくないときは、電波遮断の袋に入れるとよいと聞いた。

日本が貧しくなった

──明るい話がないですね。

B 円安や物価高で飲みに行く機会もめっきり減った。接待で使うような中国式のカラオケなんて、今は1人3000元(約6万円)程度する。そもそも日本人は中国人と比べて金払いが悪いと思われていて、店に行っても相手にされない。日本が貧しくなったと感じる。

A 明るい話といえば、新型コロナがひどかった時期と比べると徐々に日本人が増えてきたと思う。子どもが日本人学校に通っているが、生徒数は徐々に増えてきていると聞く。ただ、ビザの関係などで本格回復には程遠い。往来が戻ってくれないと商機が増えないので、日中関係が改善して出張や駐在が活発になってほしい。

C 最近は大手企業の中国撤退などもあったが、日本勢が戦える分野もまだある。例えば自動車では東北部にはEVは定着しないと思う。冬は寒いのでつねにヒーターをつける必要がある。消費電力の観点などを考えるとエンジン車に優位性がある。市場シェアを取っていくのではなく、特定の分野を見極めて競争をすること。それが日本企業の生き残る道だと思っている。

星出 遼平 東洋経済 記者

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ほしで・りょうへい / Ryohei Hoshide

ホテル・航空・旅行代理店など観光業界の記者。日用品・化粧品・ドラッグストア・薬局の取材を経て、現担当に。最近の趣味はマラソンと都内ホテルのレストランを巡ること。

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