崖っぷち「ぐるなび」楽天頼みで復活期す危うさ 出資比率16%弱でも「楽天ぐるなび」へ名称変更

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有料加盟店が減少

ぐるなびは2021年9月に主力プランを3万円に値下げしたものの解約は止まらず、ピーク時に約6万2000店あった有料サービス加盟店舗数は足元では約4万2500店まで減少。「有料加盟店舗数はようやく底を打って増え始めている。再加盟もそれなりの数になっている」(ぐるなびの杉原章郎社長)と説明するが、一度離れた顧客を再獲得するのは容易ではない。

一方、食べログは定額課金型が主力とはいえ、ぐるなびと比べてネット予約手数料で稼ぐ割合が大きい。食べログの予約手数料はランチで1人100円、ディナーで1人200円。ぐるなびのランチ11~41円、ディナー55~205円と比べて高額だが、足元での飲食店需要の急回復の恩恵をダイレクトに享受できており、それが好業績の一因になっている。

2つ目の理由が、ターゲットとする店舗業態の違いだ。ぐるなびは有料加盟店のうち、居酒屋業態の占める割合が37%と高く、とくにチェーン系の大手居酒屋に強いと言われる。食べログは業態別の割合を開示していないが、大手居酒屋はもちろん小規模な居酒屋やカフェ、レストランなどをバランスよく開拓している。

ある競合グルメサイトの関係者は「ぐるなびは、10人以上の大人数の宴会に強かったため、宴会需要の蒸発によるインパクトが大きかった。今は外食需要がかなり戻ってきているが、それでも大きな宴会需要の戻りは弱い」と指摘する。

ぐるなびが回復に向けて頼りにするのが、協業先企業との連携だ。中でも15.6%を出資する筆頭株主の楽天とは、サービス名を楽天ぐるなびに変更したほど頼りにしている。

ぐるなびと楽天は2018年に資本業務提携し、ぐるなび会員2507万人のうち楽天IDと連携済みの会員数は787万人に上る(いずれも2023年9月末現在)。予約によって楽天ポイントが貯まるグルメサイトという認知度を拡大し、楽天会員にメリットを訴求する考えだ。ネット予約が増加すれば、月額固定型サービスの加盟店舗数の回復にも弾みがつく。

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