あのフランスで若者たちが「恋愛離れ」加速の実態 大切なのは「友達」「自分のアイデンティティ」

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例えば、もうすぐ17歳になる高校生のケヴィンには、同じクラスのタニアという「女友達」がいました。2人はほとんどの時間を一緒に過ごし、一緒にいる時間を大切にしていました。2人はまるでカップルのようで、2人の関係は、友人や家族の間でも公認のものでした。

互いの家に泊まることもありましたが、ケヴィンは「性的な関係はタニアの同意がなければならない」と強く意識し、彼女が望まないなら、と彼は自らが主張することはありませんでした。

ところが、その年の暮れ、ケヴィンはタニアから別れを告げられてしまいます。彼が積極的ではなかったことが原因かもしれませんが、若い男性にとって女性の「真意」を察するのは難しいことだったようです。

一方、女性側も安易に同意することで、「簡単な女性」と見られたくないという思いもあるようです。同名の小説を原作とする映画『The Consent(同意)』では、14歳という若い女性たちが同意の概念について語っています。

今は「LGBTQIA+」

もう1つ、今のフランスの若者世代を語るうえで欠かせないのは、セクシュアリティの多様化です。

皆さんは「LGBTQIA+」という表現をご存じですか? 以前はLGBTと呼ばれていましたが、今はLGBTQIA+です。

これは何の略でしょうか?

L=Lesbian、G=Gay、B=Bisexual、T=Transsexual、あるいは、Transgender、 Q=Queer、 I=Intersex、 A=Asexual、あるいは、Aromantic、そして + はすべてのジェンダーとセクシュアリティを表しています。

Asexual(アセクシュアル)は、誰に対しても性的魅力を感じないことを意味します。ただし、これは何かが欠如しているわけではないので、問題として扱われるべきではありませんし、パートナーと共にカップルとして生活しないという意味でもありません(文脈は違いますが、セックスレス・カップルという言葉は以前からあります)。

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