松浦弥太郎がエッセイで書かないと決めている事 どのように書くとエッセイはおもしろくなるのか
厳しい競争社会で誰もが勝者になれるわけでもない時代をどう生きればいいのか――。松浦弥太郎さんが提案するのが「エッセイストという生き方」です。エッセイを通して日々の暮らしや自分自身との向き合い方を考える書籍『エッセイストのように生きる』より、一部抜粋・再構成してお届けします。
言いたいことは「ひとつ」だけ
「伝えたいことを、ひとつだけ」。これは『暮しの手帖』時代から、編集部員やライターの人にことごとく言いつづけてきたことです。
人は、いろいろな情報を知ったり、見たり、聞いたり、感動したりすると、なるべくその多くを書きたくなるものです。あれもこれもと伝えたくなるし、伝えなくてはと使命感を持ってしまうところもあります。
しかし、そういう文章は「説明文」や「情報のパッケージ」になってしまいがち。いちばん伝えたいメッセージが伝わらないものになってしまいます。読み手にとっても、役には立つけれどおもしろくないエッセイになってしまうでしょう。
ですので、いちばん伝えたいことを、ひとつだけ。手の中にたくさんのすてきな情報を持っていても、その中のどれかひとつだけを選び取って書くのです。ほかの要素は思い切って捨ててしまう。
そしてその「ひとつ」について、深く深く書いていきます。
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