「60代は縁側でお茶を飲む」と思う人に伝えたい事 「人生100年時代」を生きる力の育み方【後編】

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木村裕美(以下、木村):予定どおりにいかないのが人生。私自身も27年続けていた仕事を辞めるとは思っていなかったので、予定どおりにいかないところが人生のチャンスでもあると思っています。

齋藤:人生100年時代に必要な要素の1つが好奇心ですよね。社会のルールが変わっていく中で、学び続ける必要があるからです。『16歳からのライフ・シフト』は、ある意味、地図だと私は思っています。社会のルールが変われば、当然地図も変わっていく。常に変わる地図を楽しみながらサバイブしていくことを考えると、好奇心は絶対に欠かせません。それは未知の世界に飛び込んでいくきっかけになります。今いる自分とは違う、外側の世界に行ってみると、自分を俯瞰して見ることができます。

それによって自分を再発見して、さらにアイデンティティが変わっていく。要するに地図と羅針盤の関係性をどんどんアップデートしていく力が必要で、その源にあるのが好奇心ではないかと思います。

宮田純也(みやた・なおや)/一般社団法人未来の先生フォーラム代表理事。早稲田大学高等学院、早稲田大学教育学部教育学科教育学専攻教育学専修卒業、早稲田大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)。日本最大級の教育イベント「未来の先生フォーラム」創設や2億7100万円の奨学金設立など、様々な教育に関する企画や新規事業を実施。株式会社未来の学校教育代表取締役などを務める。編著書に『SCHOOL SHIFT』(明治図書出版)。監修に『16歳からのライフ・シフト』(東洋経済新報社)
(画像:未来の先生フォーラム)

宮田:ありがとうございます。ここで参加者からの質問を紹介したいと思います。

「先に進むのではなく後ろに下がるという経験をするには、ある程度の時間的・精神的な余裕が必要だと思います。受験前の余裕がない中高生に向けて、その余裕をどう提供できるか」という質問です。安居先生、お願いします。

安居:難しいですね。先ほども申し上げたように、枠組みを外してみましょうか。受験で忙しいと言うけれど、受験は本当に必要でしょうか。いい大学に行けばいい就職ができて、いい人生が待っているという考え方が前提になっていないでしょうか。

もはやそういう時代ではありません。大学は、必要なときに学びに行けばいい。もちろん人生は人それぞれですから、いい大学を目指すという選択肢があっていいと思います。ただ、その先にレールが敷かれているのではなく、自分がその道でどのような世界と関わるかのほうが大事です。

人は、自分の知っている範囲でしか物事を判断することはできません。だからいい大学を目指すのも、いい就職先のためではなく、視野を広げ、いい人に出会いに行くといった具合にマインドをちょっと変えてみてもいいのではないでしょうか。自分が持っている種を増やすことのほうが大事だと思います。

「わからないことをわかる」ことが大事

木村:授業で子供たちに人生100年時代を考えさせるようにしているのですが、決まって出てくるのが、60歳以降は縁側でお茶を飲むというイメージです。50代くらいまでなら、自分の両親や祖父母を見ていて何となくわかるけれど、それ以降はまったくイメージが湧かないんですね。以前は、それでも考えてみてほしいというスタンスだったのですが、最近では「わからないことがわかる」ことが大事なのではないかと考えるようになりました。

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