苦境のレゴを復活させた「経営者の直観」その中身 「すばやい対応」だけでは現状打破には不十分

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レゴのコア・ユーザーから考えれば、デジタル・ネイティブの子どもたちの関心をひく必要があるのは一目瞭然だった。クヌッドストープは、新しい玩具を開発するのではなく、基本的なブロックと融合するデジタル・テクノロジーに着目した。

こうして開発したレゴ・ロボットは大人気を博した。レゴでロボットをつくり、アプリをダウンロードすると、ロボットを動かすことができるのだ。

このイノベーションが、昔ながらの玩具とテクノロジーを結びつけた。さらに、現実世界でレゴを組み立てたあと、バーチャル世界でも遊べるようにも工夫した。レゴにデジタル要素がくわわると、大人もレゴに関心をもち、売り上げはまた伸びた。

この成功により、レゴ・グループは「玩具界のApple」と呼ばれるまでになり、アメリカでは毎年10億ドルを超える売り上げを記録している。2015年、フォーブス誌は「レゴ・グループがフェラーリを追い抜き、世界でもっともパワフルなブランドの座を獲得した」と報じた。

突破口を開いたのは「直観」を活用したこと

現状を打破して躍進したレゴのストーリーの興味深いところは、「すばやい対応だけでは十分ではない」ことだ。改革に着手した当初、レゴは新たな玩具のラインを打ちだしたが、それだけではうまくいかなかった。突破口がひらかれたのは、直観を活用して、ターゲットが望んでいるものを理解しようと努力したからだ。

深い直観に基づく状況把握は、「切り替える力」にも通じる。レゴ・グループはこれまでと違う試みに挑戦しただけではなく、新たなテクノロジーによって、プラスチック製ブロックで異なる世代のユーザーが遊べるようにした。クヌッドストープは状況に対応するだけではなく、顧客に対してすばやく反応し、みずから変化を起こしたレゴ復活劇の立役者になったのである。

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