「あえて多様性を叫ぶこと」が差別につながる現実 LGBTQの人に言ってはいけない言葉はあるのか

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そんなささいなことで、相手を選別してしまうようになるかもしれません。ですから、友人同士おつき合いしていくうちに苦手な食べ物を知って、今度食事に行くときは、それを避けるねといった程度の話にしてほしいのです。

カウンセリングをしていても、そういった場面に遭遇することはよくあります。例えば、だいぶ前のことではありますが「同棲している相手のことなんですけど」と女性のクライアントの方に話し始められたとき、「一緒に暮らしているパートナーのことですね」と確認したら、驚いた顔をされたことがありました。「彼氏って言わないんですね」と。

思い込みが人を傷つけていることも

実は、試されていたということが後からわかったのですが、大抵の場合、女性の同棲相手は男性だろうという前提で話を進められてしまうとのこと、そうするともう話す気がなくなるとのことでした。思い込みは、経験値や価値観で形成されるものでもありますし、悪いものばかりではないと思うのですが、相手をよく見て、そのままを受け止めるというプロセスでは邪魔になることがあります。

相手と向き合い、そのままを受け止めるということが難しくなるからです。ニュートラルなコミュニケーションが取れれば、お互いを知る過程で、必要なことのみを配慮することができると思うので、決めつけないことがどれほど重要なことかと思い知らされた一件でもありました。

年齢がある程度いっている方には、容易に想像できるかもしれませんが、成人男女が一緒に買い物していると、店の人に「奥さん」とか「旦那さん」とか呼ばれてしまうといったようなことがあるかと思います。周りの人に対して、そうした思い込みが、人を傷つけているかもしれないということに少しだけ注意を向けてほしいと思います。

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