部下指導におけるハラスメントを防ぐ「マネジメント研修」や部下のメンタルケアのための「ラインケア研修」の機会は多くあるのに、管理者自身をケアしてくれる機会がないという嘆きをよく耳にします。
昨今、「ハラスメント」に関する厳しい風潮も加わり、「あれはダメ」「これはダメ」というような制限が多くのしかかっているうえに「部下の気持ちをしっかり受け止める」ことを指南されて、指示や指導がしづらくなっている現状があります。
もちろん、思いやりや相手を尊重する姿勢は大切ですが、必要以上に細心の注意を払うことや忍耐を強いられる管理者の負担は想像以上です。このように、部下への対応ばかりが注目されるのは、「ハラスメント」は上司から部下に行われるものという固定観念が存在するからだとも言えます。
「NO」と言えない、もしくは、言いづらい関係性の中で「ハラスメント」は起きやすいので、上司から部下、客先から請け負い業者、といったように権限を持つ方が弱い立場に対してハラスメントを起こしやすい傾向はあるのですが、反対に、これだけ啓蒙が行われ認知が広まり、世間の目も厳しくなったゆえに起こっている下から上へのハラスメントにも注目していただきたいと思います。
指示に従わないのもハラスメント
上司「A社の件は、任せたよ」
部下「A社ですか。今度の担当者、なんか苦手なんですよ」
上司「この件に関して、一番よく知っているのは君だし、やってくれると助かるんだけど」
部下「そういわれても。他の人じゃダメですか」
上司「……」
上司「先週の報告書が、まだ出てないようだけど」
新人「今、急ぎの案件やってるんで、後でいいですか」
上司「……」
ケース1も2もこれ以上言ったら「ハラスメント」と言われるのでは、と憂慮して、強く言えないことが多いようです。
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