非正規で働くママ、今ドキの託児事情とは? 働くためには認可外の施設が頼り

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たとえば、たいていの園では定期的に午前保育の日が設けられており、夏休みなどの長期休みは預かり保育を実施しないという園も多い。こうした幼稚園に預けられない時間の託児先をどうするかという問題は、働く幼稚園ママの共通の大きな悩みだ。

預かり保育のない幼稚園は、生き残れない?

それでもSさんがフルタイムでもなんとかやっていけるのは、残業がなく、土祝含むシフト制で幼稚園の予定に比較的合わせやすい仕事だからだ。

Sさんは、もともと正社員の事務職だったが、長女が体調を崩しやすかったため、復帰後10カ月で退社した。以降も、状況に合わせて仕事を変え、契約社員の不動産事務(9~17時、土含む週5勤務)や、雑貨店のパート(9~16時、土日祝含む週3~4日勤務)も経験している。いずれも、子どもの病気や行事などの際に休みやすい職場だったので、幼稚園の預かり保育の範囲で働くことができた。

だが、こうした仕事を探すのは容易なことではない。特に長男出産後、2年半のブランクの後に再就職活動した際には、20社近く応募したが不採用の連続だった。

「残業できないとダメ、子どもが小さいとダメ、とハッキリ言う会社が多い。18時までの勤務が必須の会社も多い」という。ちなみに、今の仕事も「お宝求人」。数年前から目をつけており、再び求人が出たタイミングを逃さず応募してつかんだという。

ここまでして頑張るのは、子どものために教育費を増やしてあげたいという目的もあるが、何より自分が生き生きと毎日を過ごすために仕事が必要不可欠なものだからだという。同じような思いを抱き、働き続けたいと願う女性は多いのではないだろうか。

女性の活躍が叫ばれ、現に働きたい女性も増えている以上、「預かり保育を行う幼稚園はもっと増えるべき」とSさんは考える。実際、少子化の中、園児を確保したい幼稚園も、時代のニーズには逆らえなくなってきているようだ。「近所で評判のよかった幼稚園は、預かり保育をやらないために、最近は人気が落ちてしまった。長男の幼稚園も、預かり保育のために人を増やしたし、今年は7時半から登園までの早朝保育も始めるようになった」とSさんは話す。

フリーランス筆者、認定園に決まったが……

最後に、恐縮ながら、フリーランスで働く筆者の話を少ししよう。まず、フリーは認可に入りたければ労働実績を証明しなければならない。自治体によってはさまざまな書類の提出を求められ、何度も役所に足を運ぶハメになる。

育児と仕事と並行してこの作業をするのはかなりしんどい。晴れて申請できても、待機児童の多い地域ではこの労力が報われない場合も。昨夏まで住んでいた自治体には、端から「一時預かりや認可外をあたったほうがいい」と率直に助言された。

だが、筆者が問い合わせた園だけでも、都心部の一時預かりは1カ月先まで埋まっていることなどザラ。パートの人が数名ですべての枠を毎日独占していた園もある。「認可枠だけで定員ギリギリだから今は一時預かりを中止している」という園もいくつかあった。

夫の転勤で再び転居となった昨秋は、認可外に絞って保活をした。引っ越し時期も悪かったが、「100人待ちですが、申し込みますか」と言われたり、見学予約も数か月先まで待たされたり。5歳まで保育していた施設が新制度で小規模保育へ移行したケースもいくつかあり、2歳の息子が長く在園できる施設も限られた。

最終的に認定園に入れたが、ここも息子が3歳になる来年には退園するという条件付きの契約だ。息子を寝かしつけた後で仕事をする毎日からは解放されたが、今も、いわゆる「3歳の壁」問題に頭を悩ませている。

こうして非正規ママたちの視点から託児先問題をみても、働きたいママの様々なニーズに社会が追いついていない現状が浮かび上がる。

ダイバーシティを推進するのであれば、いろいろな就業形態で働く非正規ママたちの声も尊重し、保育施設を整備していく必要があるのではないだろうか。

佐藤 ちひろ ライター・エディター

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さとう ちひろ / Chihiro Sato

インテリア専門商社にて内装デザインや商品開発リサーチ等を担当後、美容系ECサイトや新聞生活情報面の編集に携わる。独立後は企業取材やライフをテーマにした企画を中心に執筆活動を展開。東洋経済オンラインでは「めちゃ売れ!コスパ最強商品はコレだ」「溺愛される商品にはワケがある」など消費財関連の連載執筆を担当。プライベートでは1児の母。

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