見栄えがよくても収入が3~4%しか増えないというのは、あまり大きな額には思えないかもしれない。でも、美しい人は醜い人に比べて一生の稼ぎが23万ドル(約2700万円)多くなると考えると、とても小さいとは言えない額に思えてくる。
容姿の劣る働き手と並み程度の働き手を比べると、影響はさらに小さい。生涯通算で「ほんの」14万ドルだ。これですら小さいとは言えない額である。美しい働き手と並み程度の働き手を比べると、差は「たったの」9万ドルだ。それでもなお、無視できない額である。
私が調べたところ、オーストラリア、カナダ、中国の上海、韓国、イギリスに、美しさと収入に関する研究が存在する。それらの研究によると、ほかの国でも、容姿が残念だと収入には大きくマイナスの影響があるとのことだった。ほとんどの場合、容姿がいいと収入にはプラスの影響があるという結果になっていた。
美形効果が女性の間では小さいのはなぜか?
注意深い読者のみなさんは、収入への影響の推定値は、女性の働き手より男性の働き手のほうが大きいことに気づいただろう。アメリカのデータを見てもそうなっているし、ほかの国に関する研究でも大体そうなっている。どうしてそんなふうになっているのだろう?
カギは、働いている割合にある。仕事に就いているか、または仕事を探している(つまり労働人口に含まれている)成人女性の割合は長年にわたって上昇してきた。しかし2008年になってもまだ、25歳から54歳のアメリカ成人女性のうち、労働人口に含まれている人の割合は72%にすぎない。
同じ年齢層のアメリカの男性では86%だ。労働人口に入らずにいる人の割合は、男性より女性のほうがずっと高い。これは驚くまでもない。働いてお給料を稼ぐかどうかの意思決定は、男性より女性のほうがずっと、お給料の高さやそのほかのインセンティヴ、それに幼い子どもがいるかどうかに大きく左右されると示す証拠を、経済学が山ほど積み上げている。
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