ルックスによる生涯賃金格差は2700万円! 残酷な真実!労働経済学の権威の試算

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働いて得られるものが家にいて得られるものを上回るなら、人は働くことを選ぶ。働いて得られるものとは収入だ。そして美しさは収入を左右する。家にいて得られるものとは、余暇の楽しみ、家でその人がやること(料理や掃除、配管の修理、子どもの世話、それにテレビやなんか)でその人自身や家族が得る価値、加えて通勤や保育にかかる費用の節約である。

美しい人には働いて収入を得ようというインセンティヴが与えられ、容姿の劣る人には労働市場を避けて家に引きこもるマイナスのインセンティヴが与えられる。

女性の本当の美貌格差はデータに表れない

1970年代のアメリカのデータとカナダのデータで、働くかどうかの判断に美しさが及ぼす影響を推定できる。どちらのデータでも、容姿が並みより上か下かは、男が働いて稼ぐかどうかに影響してはいなかった。

一方、容姿が並みより上の女性は、並みの女性に比べて、働いている可能性が5%ほど高い。それに、どちらかというとほんの一握りである、容姿が並みより下の女性は、並みの女性に比べて、労働市場に参入している可能性が約5%低い(つまり、家にいる可能性がずっと高い)。

今日、25歳から54歳で、容姿が並みの女性は72%しか働いていないことを考えると、女性が働く可能性に容姿が及ぼす影響は小さくない。

女性より男性の収入のほうがずっと容姿に左右されるというのは、予想に反する結果だったが、さまざまなデータにより、その理由は、女性は男性より、外に出て稼ぐべく働くか、あるいは働かないかの選択を行う余地が大きく、容姿がその選択を左右しているから、と考えられる。

ダニエル・S・ハマーメッシュ 労働経済学者

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Daniel S. Hamermesh

テキサス大学オースティン校で経済の基礎に関するスー・キリアム寄付講座の担当教授、オランダのマーストリヒト大学では労働経済学の担当教授を務める。著書に『労働需要(Labor Demand)』、『どこでも経済学(Economics Is Everywhere)』などがある。

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