怒りを抑えられない人に欠けた「大切な考え方」 実は「怒り」は自分を守る感情である

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ここで、怒りとの付き合い方についてもう少し触れていきます。

怒りという気持ちは、さみしさや恥、悲しみなどの感情の表現として表れてきます。

数字にしてみましょう。パートナーからのLINEがすぐ返ってこなかったとしましょう。そこで感じたさみしさ・悲しさが「3」だったとします。

その「3」のさみしさが、壁の奥のパーツによって増幅され、「100」となって引き出されてしまうことがあります。

怒りの感情は表明しづらいもの

そして、その増幅された感情が「こんな悲しさ・さみしさを感じさせるなんて許せない」とパートナーを対象とした怒りに変化し、「100」の怒りとして返される、ということがあるのです。

さて、ここで「100」を受け取った相手は、どう感じるでしょうか。

たとえば、誤って足を踏んづけてしまった人に、「すいません」と謝ったにもかかわらず、反撃として棒で殴られたとしたら、こちらに非があったとしても「理不尽」と感じるのではないでしょうか。

「増幅された怒り」をぶつけられるというのは、とても傷つくことでもあります。

寛容な人は、何度かは受け止めてくれるかもしれません。しかし、多く受け取った「97」の分は、相手の心の中に「負債」として残り続けます。それが何度も何度も積み重なっているとしたら、「なんでこんなに怒られなければならないのだろう」と、その負債額は相当なものになっていくでしょう。

でも、あなたが「相手が私を怒らせたのだから、このぐらい怒って当然だ」という認識でいる限り、そのギャップに気づくことができません。ここに、とても大きなコミュニケーションリスクが存在するのです。

リスクを回避するためには、自分が本来感じた「3」の感情と、増幅分の「97」をしっかり切り分ける必要があります。自分の体感としては「100」なのだけど、本来感じるべきなのは「3」くらいかな、という推測ができるようになる、ということです。

そして、増幅分の「97」は、何らかの方法で自力で対処して、「3」の分だけの違和感や不満を伝える、ということができるようになると、その関係性は大きく安定につながります。

これは難しいことだと思います。だって体感的には「100」の怒りを感じているのですから。

それでも、もしその人との関係性を対等で安定したものにしたいとしたら、ぜひとも身につけておいたほうがいい技術だと考えます。

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