40代でも急に老けてしまう「ゴースト血管」の恐怖 血管を「若く保つ」ためにはどうしたらいいのか
――「ゴースト血管」による老化を防ぐことが、仕事やプライベートを長く充実させることにつながるのですね。
「ゴースト血管」を防ぐいちばんの“薬”は「一酸化窒素」で、この一酸化窒素を作ってくれるのが運動です。運動すると血管内皮細胞で一酸化窒素がつくられ、その作用によって血管がやわらかく、しなやかになります。血管が柔軟性を得ることで血液の流れがスムーズになります。
前回お話しした「鎌田式ウォーキング」や「鎌田式スクワット」などシンプルな運動でかまわないので、運動を習慣化することは「貯筋」だけでなく、「ゴースト血管」の防止にもつながるのです。
加えて、血管の老化を防ぐには抗酸化力を高める食事が欠かせません。特に野菜をしっかり摂ることです。
僕は約50年前に東京から長野の諏訪中央病院に赴任したときに、長野県全域で「健康食事運動」を展開しました。「1日の野菜摂取量350グラム」を目標に掲げ、県民の皆さんに呼びかけたのです。特に野菜をたくさん摂れる「ぜいたく具だくさん味噌汁」が大ヒットして、長野県の平均寿命は1990年に男性が1位に、2010年には男女で1位になりました。
野菜を摂れば塩分を減らせる
――食事の際、塩分については意識したほうがいいですか。
塩分を摂っても血圧に影響しない人は一定層いることがわかっていますが、それでも多くの人は塩分の摂取量とともに血圧が正比例で上昇するので、減塩は大事です。減塩によって血圧が平均に保たれると動脈硬化、心筋梗塞とか脳梗塞などの病気が起こりにくくなります。
長野県はかつて脳卒中の罹患率が全国ワースト1位でしたが、「健康食事運動」で野菜の摂取とともに減塩を呼びかけたところ、全国トップクラスの長寿県になりました。
野菜を摂取することには、塩分を減らす効果もあります。多くの野菜にはミネラルの一種であるカリウムが含まれています。カリウムが体の中に入ると、血圧を上げる原因であるナトリウムが代わりに尿とともに排出されます。
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