学校名で人を判断するのはいい加減やめませんか ウェルビーイングを学校で実践して起こった事

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妹尾:新型コロナウイルスの流行によって、2020年3月から5月、6月頃まで、全国的にほとんどの学校では休校になりました。春休みが延びたようなものです。しかしここで子供たちの過ごし方は二極化していたように感じます。自分のやりたいことや好きなことがある子は、もう自由研究し放題。一方、大勢の子は何をしていいかわからず、ネットで動画を見てヒマを潰していたのでは。

『16歳からのライフ・シフト』にもあるように、重要なのはレクリエーションだけではなく、リ・クリエーションです。子供たちにとってのリ・クリエーションは探究と言い換えてもいいでしょう。別に勉強だけが学びではなく、家事でも趣味でもいい。しかし目の前の娯楽を娯楽として消費するだけで、主体的に何かを創造する子供があまり育っていなかったなというのが実感です。

「遊び」から学びや自由な発想が生まれる

中島:私の場合、平方北小学校に異動して、ウェルビーイングを実践しようと思っていた矢先に一斉休校になりました。「幸せな学校にしたい」という思いより、子供たちが学校に通えない現実に向き合うことが最優先でした。

ただ「SPIRE」の「R」、人間関係のつながりは絶対に必要だと感じたので、とにかくオンラインでつながれるよう、すぐにWEB会議用アプリを導入しました。

『16歳からのライフ・シフト』の特設サイトはこちら(画像をクリックするとジャンプします)

妹尾:かなり早い段階でしたよね。周りからの反対の声はなかったのですか。

中島:ありました。導入したのは2020年5月の3週目、小学校での導入率はまだ5%ほどの時期です。でも「つながりは大事なんです。ここだけは譲れません」と、とにかくスマホで先生たちと練習するところから始めました。そのうち、ウェルビーイングの知見を少しずつ学校だよりや校長室だよりで伝えていくようにしました。2年目には、地域の学校運営協議会の方々から「ウェルビーイングの内容を学校経営方針に入れたほうがいいよ」と言ってもらえました。

体現すること、ぶれずに伝え続けていくこと。何より子供たちが変わっていったことが大きいと思います。欠席ゼロ人の日数が増えたり、学校が楽しいという子が増えたり、学力が向上したり。体力の低下も顕著だったので、休み時間を5分延ばし、外で思いっきり身体を動かして自由に遊ぶ時間を確保しました。25分間の自由な時間は子どもたちにとってとても有意義な時間になっています。

じつは先日、6年生が学校の敷地内に「畑を作りたい」と言ってきました。日照時間や育つ作物などを自分で調べ、パソコン片手にプレゼンテーションを行ったので驚きましたね。

妹尾:面白いですね。遊びから学びを得たり、遊びから自由な発想が生まれたりします。それこそまさにリ・クリエーションです。習い事や塾もいいですが、「今日は何をしようか」って子供たちが自由に使える時間や遊びの価値を、私たち大人が見直してみることは大事なのではないでしょうか。教育(学校、家庭、社会教育を含む)における一つの大きなテーマだと思います。

後編に続く)

中島 晴美 埼玉県上尾市立平方北小学校校長

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なかじま はるみ / Harumi Nakajima

2020年より現職。同県北足立北部地区道徳教育研究会会長、同県教育課程実践事例集編成委員外国語部長、同県社会教育委員および同県生涯学習審議委員、同県公立小・中学校女性校長会副会長、日本の教育とウェルビーイングの未来を考えるシンポジウム実行委員。Well-Being Education(オンラインサロン)代表。日本ウェルビーイング学会所属。Happiness Study Academy在学。ウェルビーイング、道徳科、外国語科を研究し続けている。著書『ウェルビーイングな学校をつくる――子どもが毎日行きたい、先生が働きたいと思える学校へ』(教育開発研究所)、共著に『99%の小学生は気づいていない!? ウェルビーイングの魔法』(Z会)

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妹尾 昌俊 教育研究家、一般社団法人ライフ&ワーク代表理事

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せのお まさとし / Masatoshi Senoo

徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、「質の高い教師の確保特別部会」委員、文科省・GIGAスクール下での校務の情報化の在り方専門家会議委員なども務めた。Yahoo!ニュースオーサー。主な著書に『校長先生、教頭先生、そのお悩み解決できます!』(教育開発研究所)、『教師と学校の失敗学』(PHP)、『変わる学校、変わらない学校』(学事出版)など多数。5人の子育て中

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