妹尾:抽象的な目標や理念を掲げるより、「SPIRE」の観点で物事を分析してみると、どのように取り組めばいいか、具体的なステップが見えてきそうですね。
中島:たとえば社会科の授業で、歴史に詳しい先生が熱心に語り、どこがどう面白いかまで話したらどうなるでしょう。生徒のうち、2%くらいは「先生すごい、面白い」という感想を抱くと思います。だけど残りの98%の子は、受け身のまま授業を終えます。すると「SPIRE」の「S」に当てはまっていないのではないか。また一見、充実した授業に見えるけれど、「SPIRE」の「E」、つまり感情が揺り動かされるようなワクワク感を子供たちは味わっているでしょうか。
こうした観点で見ていくと、授業にもっと主体的に考えさせるような仕掛けが必要だな、というのが見えてきます。
子供たちの好奇心や学び続ける力を高める教育とは
妹尾:私自身、歴史が好きなのであえて言いますが、小学校はともかく、中学高校の社会科の授業では、歴史嫌いを量産しているのではないかと思うことがあります。入試対策で「これ覚えておきなさい」というのが多すぎませんか。
それは実際に入試には必要なのかもしれませんが、今はネットでいくらでも調べられるし、今後はAIが何かしら補助的な役割を果たしてくれるかもしれません。さまざまな情報にアクセスできるウェアラブル端末を駆使して受験するというような未来がやってくるかもしれません。
もちろん思考の土台には基礎的な知識が必要ですから、知識の暗記や詰め込みが全く無駄だというわけではないのですが、覚える、覚えさせることに汲々としている。それで果たして子供たちの好奇心や学び続ける力を高めていけるのか、非常に気になります。