そうして選んだのが、築50年オーバーの、約30平米で2Kの狭小マンションでした。家賃は8万円です。
初めて見た日のことは、今でも鮮明に思い出します。そのマンションは高層ビル群の中で取り残されたようにひっそりと存在していました。古さはもちろん、壁にはヒビ、階段のタイルは剥がれ、管理も行き届いているとは言いがたい、まごうことなきボロ物件でした。
ただ、いざ引っ越ししてみると、立地の良さに驚きました。それもそのはず、山手線の駅から徒歩数分という絶好の立地だったのです。
ここまで聞いて「でも、いくらオンボロでも8万円は安すぎない?」と思う人もいるでしょう。東京暮らしに慣れた今なら、私もそう思います。港区にたった8万円でペット可の賃貸物件が見つかっただけでも奇跡だと。
実のところ、建て替え予定のあるマンションのため、室内補修ゼロの期間限定貸し……というのが安さの理由でした。
85平米より50平米、50平米より30平米のほうが快適に暮らせた
このような経緯で、85平米、50平米、30平米と、引っ越すたびにどんどん狭い家に移ることになった私たち夫婦。東京への引っ越しの前は、「50平米は2人暮らしにちょうどよかったけど、30平米だとさすがに狭いかも……」と不安な気持ちでいっぱいでした。
「なんて狭くてボロい家なんだろう。出向期間の2年間をどうにかしのいで、さっさと大阪に帰ろう……」
そんな消極的な気持ちで暮らしていたものの、ある日、ふと気づきました。「この部屋が住みにくい原因は、部屋そのものではなく、ものの多さにあるのでは……?」ということに。
そうです、夫と暮らし始めた、80平米のマンションで感じていたのと同じストレスをふたたび感じていたのです。
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