「30平米築50年」オンボロ物件で知った幸せの本質 暮らし方は生き方、しがらみからも自由になれる

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物理的にもものが少なくなれば、散らかりにくく、片付けやすくなります。部屋が狭ければ、1回5分もあれば掃除機もかけ終わります。ロボット掃除機を買わなくてもOK。整理整頓や掃除の手間が激減します。

わが家の食器。色や柄、テイストなどでそろえることはせず、お気に入りだけを所有しています(筆者撮影)

その時間で何をするかというと、ゴロゴロ寝転んでスマホでマンガを読むなど、大して建設的なことはしていないのですが、こういう無駄な時間ほどプライスレス。勉強とか副業とか、やりたいことがあって時間を捻出するとかじゃなくても、やりたくないことをしないというのは、最高なのです。

水道光熱費も家が狭くなればなるほど、どんどん安くなりました。2023年7月の水道代は2439円(7・8月分で4879円)、電気代は5404円、ガス代は1871円で、合計9714円と、1万円を割っています。

ペットがいるので夏や冬は24時間エアコンを稼働しているのですが、12畳ほどしかないうなぎの寝床スタイルの室内は、熱効率がよく、安い電気代にもかかわらず、室温はつねに快適。浴槽も小さいので、毎日湯船に使っても水道代もガス代も激安です。

見栄を捨てた中高年夫婦はもやは最強である

前回の記事で、私がかつて、大量のCDを保有していたこと、そしてその存在意義が、誰かが家に来たときに「音楽詳しいんだね」と言ってもらうためだけにあったことに、手放して気づいたことを書きました。CDを手放したことで、「他者からどう見られるか?」という、自分が持っていた見栄も捨てることにつながったのです(夫も同じように大量の服を手放しました)。

さて、そんなふうに見栄から解放されたわが家ですが、引っ越した場所が「国家戦略特区」だったことを後で知ることになりました。「国家戦略特区」というのは「国や地方公共団体と民間の企業が1つとなって、あるプロジェクトに取り組んでいる街」という感じなのですが、そのため街そのものが新しく、わが家のまわりは高層ビルばかり。犬の散歩で仲良くなった人たちは、ほぼ全員がタワマン在住で、まあまあの確率で社長か社長夫人という状況が発生しました。

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