高いiPhone、高いホテルと「半世紀ぶり円安」の先 実質実効レートの調整経路は円高かインフレか
現実問題として、円安による日常生活のコスト増加は可視的なものとなってきており、ガソリン価格を筆頭とする鉱物性燃料価格の押し上げは、円安を背景とする象徴的な「インフレの輸入」と言えるものだ(もちろん、最近では石油の単価自体も上がってはいるが、円安の影響も大きい)。
また、近年の円安傾向に加え、名目賃金上昇率に関し日本が世界に劣後しているという事実も相まって、国際的に需要が強い財は一段と「高嶺の花」になりやすい。その象徴がiPhoneである。
iPhoneは日本で「高嶺の花」に
9月13日に発表された新機種「iPhone15」はアメリカ価格が799ドル、日本価格は12万4800円であることが発表された。この際、アメリカ価格は「iPhone12」(2020年11月発表)以降、799ドルで据え置かれてきたのに対し、日本価格は「12」が8万5800円 、「13」が9万8800円 、「14」が11万9800円と順調に値上がりしてきたことも注目された。
アメリカ価格が据え置かれる一方、日本価格は「12」から「15」にかけて約1.45倍(約4割増し)になっている。
なお、「iPhone12」だけ64GBでほかは128GBなので、すべて128GBにそろえてProシリーズで比較すると、こちらもアメリカ価格は999ドルで据え置かれてきた経緯がある。その間、日本価格は「iPhone12 Pro」の10万6800円から「iPhone15 Pro」の15万9800円へ、やはり約1.5倍になっている。
ここで同じ期間のドル円相場の変化率に目をやると、「iPhone12」の発表があった2020年11月のドル円相場の月中平均レートは約109円だった。9月13日時点の約147円と比べるとやはり4割程度、円安・ドル高が進んでいる。
日本人が「iPhoneは高くなった」と感じる最大の要因が円安・ドル高にあることは議論の余地がない。
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