「FRBのタカ派姿勢は間違っている。いずれ経済は急失速して金利は低下するはず」と、政策ミスの修正に賭けていた債券市場は、景気見通しの上方修正を余儀なくされ、6月からは長期金利が上昇した。
アメリカ企業の決算は好調、再び株高へ
だが、そもそも3%台という長期金利は、今のアメリカの経済の成長・インフレ率と比較すると、低すぎたと言える。こう俯瞰すれば、筆者は最近の金利上昇を過度に懸念する必要はないと考えている。
6~7月の期間と同様に、長期金利上昇と株高は併存する局面が、今後訪れうると考えている。確かに長期金利は上昇しているが、経済が安定して業績改善が続く構図は大きく変わらないとみられるためだ。10月以降のアメリカの企業決算発表が事前想定程度に落ち着くことが、株高要因になるのではないか。
筆者は、7月前半に「アメリカの景気後退は回避されてソフトランディング(軟着陸)が2024年まで続く」と見通しを変えた。その後も、同国経済は底堅さを保ついっぽう、高インフレは和らぐという軟着陸状態が続いている。
サービス業などを筆頭に、労働市場での人手不足はなお根強いことを踏まえれば、仮に長期金利が上昇しても、アメリカ経済の緩やかな減速の度合いは大きく変わらないとみられる。
9月19~20日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、2024年末以降の政策金利見通しが、6月の時点から0.5%引き上げられ、「5%超の金利が2024年も続く」との参加者の見方が示された。ただ、FRBが重要視する2024年のコアインフレの想定は「前年比プラス2.6%」でまったく変わっておらず、インフレへの警戒が高まったわけではない。過去3カ月、インフレ率はFRBが期待した通りに、低下している。
FOMCの後、市場が波乱含みとなっているのは、インフレ見通しが変わらない中で、成長率を上方修正させたチグハグな見通しが示されたからだろう。またジェローム・パウエルFRB議長の説明もわかりにくかったことも、市場に不安感を与えたとみられる。
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