さらに、評価を難しくしている原因の3つ目が、「評価基準がずれてしまう」ことだ。チーム全員が同じ仕事をしている組織であれば問題はないが、それぞれが違う仕事を担っている場合や、担当している業界が異なる場合など、どう比較して、どう評価するのかという問題が生じる。
評価の基準をそろえて部下とすり合わせる
この問題は、あらかじめ評価基準をすり合わせておくことで解決できる。
例えば、それぞれの仕事について「本人の過去の実績と比べてどうだったか?」「過去最高と比べてどうだったか?」「これまでの平均と比べてどうだったか?」などを基準として設定することができる。あるいは、「他部署の同じ階層の人と比べてどうなのか?」という基準でも良いだろう。
仮に、評価項目が「挑戦力」だった場合、「新しいことをする」という基準での挑戦もあれば、「過去最高レベルを出す」という基準での挑戦もある。前例のないことにチャレンジするのが苦手なメンバーもいれば、つねに新しいことをやっているけど、その後の展開が苦手なメンバーもいるだろう。
そのため、「今期はどちらの挑戦を基準にするのか?」をメンバーとすり合わせることが重要だ。そうしておけば、評価を伝える段階になって「自分は全力で挑戦した(部下)」「それは挑戦とは言えない(上司)」という食い違いはなくなるだろう。
■まとめ
バイアスがかかった評価は、部下の成長意欲を損なうことになりかねない。管理職は自らのバイアスを自覚し、評価をつけるときはバイアスを取り除くよう努めるべきだ。加えて、重視する評価項目を絞り、部下と評価基準をすり合わせることで、より公平で、納得感のある評価ができるようになるだろう。
それでも悩んだ時は、最初に決めた「メッセージ」に立ち返ってほしい。「高い目標を掲げて未達成だったAさんと、低い目標を余裕で達成したBさん」の例のように、評価の方針によって部下に「どんな成長や行動を期待しているのか」を伝えるのである。評価面談を終えた後に、部下に「何のメッセージが残るのか」を意識してほしい。
評価をつけたら次はそれを伝える段階だ。評価が適切だったとしても、管理職の伝え方次第では部下の誤解を招いたり、モチベーションを低下させたりすることがある。次回は、評価を伝える前提として、部下の状況や特性を把握する重要性について解説する。
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