▼近視眼バイアス
「Cさんは、プロセス目標について3四半期連続で未達だったが、最終四半期で大型契約を獲得したから高評価にしよう」
このように、直近の出来事に引っ張られて評価してしまうのが近視眼バイアスだ。期間全体でコンスタントに成果を出していたのに、直近で失敗があったため評価が低くなるのも同様だ。期初の出来事ほど忘れられやすく、期末に近いほど印象に残るものだが、このようなバイアスは排除して評価期間全体をフラットに見る意識が必要だ。
▼現状維持バイアス
「Dさんは昔から○○が苦手だ。今回は成果が出ているが、たまたま運が良かっただけだろう。○○についてはまだまだ評価できないな」
このように、これまでのイメージや目立つ印象に引っ張られて評価してしまうのが現状維持バイアスだ。目立った特徴や高評価ポイントに引っ張られて、関係のない項目まですべて高評価をつけてしまう例もよく見られる。イメージ・特徴と評価は切り分けなければいけない。
重視する評価項目を絞る
評価をつけることが難しい原因の2つ目として、そもそも「評価項目が曖昧になりがち」であることが挙げられる。
例えば、全社共通の評価制度は、全従業員に共通する「最大公約数的な評価制度」になっているため、使いづらいことがよくある。評価項目が抽象的であり、何で評価したら良いかが曖昧になってしまうのだ。
また、評価項目が多すぎて使いこなせず、何で評価すれば良いのか曖昧になるというケースもある。多くの企業では「評価シート」をもとに評価をおこなっているが、20、30を超える項目が列挙されている評価シートも少なくない。全員の部下に対し、すべての項目について的確に評価できる管理職がどれだけいるだろうか。
実際に管理職に、「これだけの項目をどうやって評価しているのですか?」と聞くと、「後から振り返って気になったところだけ書く」「覚えているところだけつける」という声が多い。評価項目が多すぎたり、似ていたりすると、どうしてもボンヤリした評価になってしまう。
このような場合は、重視する評価項目を絞り、自分のチームや部下に最適化することが重要だ。当社でも、四半期ごとに注力する項目を一つに絞るルールで評価制度を運用している。
このとき、重視する評価項目は事前に部下とすり合わせておく必要がある。上司の評価と部下の自己評価は隔たりがあるため、先に「何に注力してほしいのか」「どういった成長をしてほしいのか」といったすり合わせをしておくことが重要だ。「後出しジャンケン」では必ず不満が噴出する。
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