また、これに付随して、意志決定のプロセスを明確化し、組織を機能化していく「内部統制」や、規範意識やルール理解を徹底する「コンプライアンス」など、必ずしも語義が明確に規定されていないものの、おおむね組織体系を整え、規範意識を高めるという流れが、2000年代から強まっている。
両社の引き起こした事件は、一族経営によるガバナンスの軽視が表面化したものであり、それは、ガバナンスに代表される企業統制の必要性を裏づけるものとなった。
ただ、それは単に一族経営だから深刻化した問題なのか。中国思想の観点から考えてみたい。
古代中国の組織と思想
企業に限らず、およそ異なる利害や価値観を持った人間が集まることで、組織は誕生する。その最たるものが国家であり、国家はすべての国民の利害を調整し、価値観の相違によるいさかいを調停することで、その権威と権力とを保持している。
組織の原則として、「利害の調整」と「価値観の調停」こそ、最大の目的となる。それは企業においても、株主、経営陣、従業員、顧客の利害を調整し、それぞれが企業活動に対して抱く価値観を調停することで、利益構造をつくりだす。
ところが、組織の原理として、力関係の強弱が生まれることは避けがたく、まったく平等な関係ということはありえない。したがって、この調整や調停には、いきおい理不尽な処理が行われ、誰かが泣き寝入りすることも避けがたい。
ここに生じた不満や矛盾が臨界点に達すると、そこには不合理な経営による破綻や、内部の反乱などが発生し、組織は崩壊することとなる。
古代中国では、広大な大陸に広がる、さまざまな文化や言語を持つ人々をとりまとめるため、王朝は「礼」を定め、人々の利害や価値観の相違をとりまとめた。
礼とは、それぞれの官職における立場と役割を定め、その責任範囲における規範を明示化したものであり、そこには職責と権限はもちろんのこと、その立場や役割にふさわしい言葉づかい、ふるまい、衣服、調度品に至るまで、細々として規定がなされた。
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