宗教2世「苦悩」を抱え生きる彼らを救う3つの論点 「当事者」だからこそ語れる問題の本質とは

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宗教2世問題が広く知られるようになった昨今、新たな弊害も……(写真:C-geo/PIXTA)

2022年7月8日の安倍晋三元首相殺害事件に端を発し、統一教会による長期的な多くの人権侵害の実態が明らかにされることとなった。そして、その延長線上で広く知られるようになったのが「宗教2世」問題である。

はたして、宗教2世とはなにか?

同語を文字どおり定義すれば「宗教的な信仰をもつ家族のもとで育った者」となるだろう。しかし現状この単語は、いわゆるカルト教団の家に生まれ育った者という意味で使われる傾向にある。そういった目を向けられている象徴的な存在が、統一教会2世である。(281ページより)

統一教会問題をさまざまな角度から検証した『これだけは知っておきたい 統一教会問題』(島薗 進 編、東洋経済新報社)においてそう述べているのは、自身が創価学会2世である正木伸城氏だ。

「宗教2世」の苦悩

自身がそのような立場にあるからこそ、統一教会2世の苦悩は理解できるという。ただしその一方、現在の「宗教2世」という言葉の使われ方には危惧も抱いているのだそうだ。

この単語は現2世たちの心をときに救い、彼らが声を上げる際の拠り所になっているものの、その用法の曖昧さや多義性から、新たな2世にとっての生きづらさも一部で生んでいるというのだ。だとすれば、それを見逃してしまうと宗教2世問題の議論の発展性を削いでしまうことにもなりかねない。

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