私がこのようなお話をしたのは、「忘れられないのは自然なことで、そんな自分を責める必要はない」ということを、あなたに知ってもらうためなのです。
人に言われた嫌な一言が残っている人の多くは、思い出して繰り返し心が傷つくのに加えて、嫌な一言が忘れられない自分自身を責めて、二重に苦しんでいます。
忘れられなくて苦しんでいるのはほかの誰でもない自分自身で、忘れられたらどんなにいいだろうかと思っているはずなのに、「なんでまだ忘れられないんだ!」と自分を責めて追い打ちをかけてしまっている状態です。
考えるだけでしんどいですよね……。
自分を責めるのをやめる
嫌な一言を頭の中から消すのは時間がかかりますが、忘れられない自分を責めるのをやめることなら今すぐ始められます。
だからこそまずは、「ずっと心に残っているのは自然なこと」「今も忘れられないほど嫌な出来事だった」と自分自身を受け止めてあげてください。今日までずっとあなたは、その一言と戦って耐えてきたのですから。
「まだ忘れられなくて当然」ということに納得できるようになったら、次は嫌な一言に頭の中で反論していきましょう。頭の中で反論することで嫌な言葉の影響が小さくなり、嫌な記憶をより早く忘れることができるからです。
次の2つの質問について、考えてみてください。
質問2:相手の言っていることに、心から納得できますか?
これらの答えが「いいえ」なら、さっそく頭の中でどんどん反論してみましょう。100%正しいと思えない理由や納得できない部分について、頭の中で相手に意見をぶつけていきます。
これらの答えが「はい」の場合は、次のように自分に質問します。
「相手の言ったことは意地悪ではないか?」「失礼なことを言われていないか?」「わざわざ言わなくてもいいことではないか?」と自問自答してみてください。
この答えが1つでも「はい」なら、相手の言っていることが正しいとしてもそのまま受け入れる必要はありません。「失礼なことを言われたから傷ついて当然だ」「わざわざ言う必要はない」と自分を肯定したうえで、相手の言葉に反論していきましょう。
過去に言われた嫌な一言に反論するときのポイントは、「相手が言い返してこない」という前提条件をつけておくことです。言い返してこないだなんて、現実にはありえないとしてもです。
相手が言い返す想定で頭の中で反論をすると、延々と言い争うことになって疲れてしまい、逆効果になることがありますから気をつけてください。
相手の一言に反論する目的は、相手に勝つことでもなければ、相手を言い負かすことでもありません。嫌な一言を丸ごとそのまま、自分の心に取り入れないためです。
相手の言葉に反論することで、相手が言っていることは間違っていると認識することができます。相手が言っていることの理不尽な部分、正しくない部分を冷静に判断することができれば、思い出したときに今ほど傷つかずにすみます。
もし、仮に相手の言っていることが正しいと感じているとしても、だからといって相手の言葉をそのまま取り入れる必要はありません。あなたが今も忘れられずにいるということは、その言葉に心が傷つけられたということだからです。
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