「本音が言えない」と悩む人に勧めたい逆転の発想 その事を言う必要があるかどうか、を考える

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【店員さんの視点】

「私がテーブルの端にグラスを置いたから水がこぼれてしまった。私がテーブルの真ん中にグラスを置けば、グラスが倒れることはなかった」と落ち込むかもしれません。

ですが、店員さんがグラスを端に置いたのには、「テーブルの上にお皿がたくさん残っていたから」という理由がちゃんとあります。さらにはBさんがグラスを倒したのは、くしゃみに驚いたから。つまり、店員さんだけの責任ではありません。

【Aさんの視点】

「私が突然大きなくしゃみをしたから、Bさんを驚かせてしまった。だから私のせいで、Bさんはグラスを倒してしまった」と自分を責めてしまうかもしれません。

ですが、くしゃみは生理現象ですし、驚いたからといって必ずグラスを倒すとは限りません。グラスがテーブルの真ん中にあれば、Aさんがくしゃみをしたとしてもグラスを倒すことはなかったかもしれません。つまり、Aさんだけの責任ではありません。

【Bさんの視点】

「私がグラスにひじをぶつけたせいでグラスが倒れて、その場にいるみんなに迷惑をかけてしまった」と考えるかもしれません。

ですが、グラスが端にあったこと、さらにはAさんのくしゃみに驚いて手が当たってしまったことなど予知できないことが重なっています。「こぼしたのは自分」という事実だけがクローズアップされていますが、Bさんだけの責任ではありません。

……いかがでしょうか。

100%自分が悪いのか?

すぐに自己嫌悪に陥る人というのは、このように自分側の責任を実際の数倍大きく捉えています。自分側の責任が10%しかないときでさえ、ほぼ100%自分が悪いかのように捉えてしまいがちなのです。

でも現実には、あなただけが悪いことは滅多にありません。先ほどのカフェの例のように、いろいろな原因が重なっていることがほとんどです。

自己嫌悪になるのがいけない、ということではありませんよ。

自分側の原因を考えられるあなただからこそ、人として成長できた部分もあるはずです。それにまったく自己嫌悪にならないというのも、それはそれで厄介です。それこそ何でもかんでもすべて人のせいにしてしまっていたら、人間関係はうまくいきません。

ですが、自己嫌悪になってばかりだとしんどくなってしまいますよね。そんなときには「もし自分のせいではないとしたら?」と考えてみてくださいね。

「自分以外の原因はないだろうか?」と探すことで、実はあなたのせいではないことがたくさん見つかります。この「自分のせいではないとしたら?」という自問自答が、自己嫌悪から抜け出す大きな一歩になるはずです。

(イラスト:Poche)
Poche 心理カウンセラー

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ぽっしゅ / Poche

精神科クリニックに併設のカウンセリングルームで10年以上心理カウンセラーとして勤務した後、独立。現在は人間関係、親子問題、機能不全家族専門カウンセラーとして活動。2021年より悩みを抱える方たちに「気づき」を得てもらうことを目的としたTwitterでの発信を開始すると、1年後の2022年初めにフォロワー2万人超えとなる。メールでのカウンセリング、対面カウンセリングともにいつも予約がいっぱいで、現在も数カ月待ちの人気カウンセラー。著書に『あなたはもう、自分のために生きていい』(ダイヤモンド社)、『あなたの「しんどい」をほぐす本』(KADOKAWA)などがある。

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