40代女性「ゴミ屋敷に部屋が激変した」つらい事情 働き続けてきて「たぶん何かが崩れてしまった」

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業者にも業者の言い分があると思うが、実際のところゴミ屋敷の清掃業者と依頼者が揉めるケースは少なくない。清掃業者による料金の違いを検索してみると、間取りを基準にしていたり、時間を基準にしていたりする中、「軽トラック1台〇〇円」とうたっているサイトが多いことに気がつく。

しかし、依頼者にしてみれば自分の部屋に軽トラック何台分のゴミがあるのかなど検討がつかない。そのため、ふたを開けたらゴミの量がほとんど減っていないということが往々にしてある。

「イーブイでも依頼者様の予算に合わせて、たとえば“5万円分だけ”片付けをすることもあります。でも作業を始める前に“この予算なら玄関と廊下は空になりますよ”とか“リビングまで空になりますよ”といったように、事前に終わりのイメージを伝えるようにしています。その説明がまったくないから揉めるんです。接客というより携帯電話料金のプランのようにテクニックの世界になってきている感は否めないです」

片付けをして壁が見えてきた(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

何人ものスタッフが必要なゴミ屋敷清掃

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ゴミ屋敷の清掃はスタッフ1人でできるような作業ではない。ワンルームの部屋でも2~3人、一軒家など広い部屋になれば4~6人のスタッフが動員される。それにくわえ、ゴミを処理場へ運ぶパッカー車も手配する必要がある。どうしても、それなりの金額がかかってしまうのだ。

「ほかの業者さんは大体一括で払ってくれって言うんです。それも本当に20万とか請求されて。経緯(職場が原因で心療内科へ通うようになってしまった)を全部話しましたよねって言っても、それを聞かずにスパッって言うんです。なんかもう見捨てられた気がして。片付けたいのに手伝ってもくれないのかと思って」(依頼者の女性)

業者もボランティアで片付けをしているわけではない。従業員の生活も守らなければいけないし、仮に料金が未払いになった場合は回収の手間がかかる。ビジネスでやっている以上、分割払いに対応しないことを非難されるいわれはないだろう。

片付けが終わり元の姿を取り戻した部屋(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
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依頼者の女性は現状自分のことで精いっぱいで、他人のことまで考える余裕はないのかもしれない。とはいえ、精神的に参っている人に対して“他人のことまで考えろ”と言うのも酷である。ひとつのサービスや制度を作れば、それに救われる人がいる一方で、その網から漏れてしまう人が出てくるのはどうしても避けられないことだ。だからこそ二見社長は、「会社として合理的ではないですが、人としてそういった人たちを見捨てることはできない」と考える。

ゴミがなくなった部屋で、女性が心の余裕を取り戻せるといい。

國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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