インドネシアの「個人商店」に起きている劇的変化 小売業界に変化もたらすスーパーアプリの正体

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消費者としては、そもそも決済手段が統一されていないので、店によって決済手段を選択する必要がある。紙のポイントカードやスマホアプリ、それぞれを管理するのも煩雑である。宅配をしてくれるかどうかもいちいち確認せねばならない。

日本にスーパーアプリが普及すれば?

インドネシアのようなスーパーアプリが普及すれば、こうした問題は解決される。データが一元的に管理されていれば、プラットフォームの共通化によるコスト低減や売り上げ機会の増加も図ることができるだろう。さらに、商店街が一体となった取り組みも始めやすくなるかもしれない。大型ショッピングモールに対抗するためのプロモーション施策を商店街が一体となって仕掛けるといったことである。

『デジタル・フロンティア 米中に日本企業が勝つための「東南アジア発・新しいDX戦略」』(PHP研究所)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

たとえば、データ分析の結果、週末に大型ショッピングモールへ家族客が流れていることがわかったら、週末に商店街を挙げたイベントを企画してもよいだろう。ほかの商店街と連携して祭りなど街おこしのための大規模なイベントを開催してもいいかもしれない。 顧客側も決済システムやアプリが統一されていれば便利だ。

DMも消費者ごとに最適化されたものがまとめて送られてくるので、バラバラと送られてくるメールをいくつも読む必要がなくなる。また、家にいながらにして、生活に必要な食材や消費財を商店街の複数店舗にまとめて注文できたら便利だろう。

地元の商店街には、消費者の近くにいて、消費者の顔が見えるという強みがある。

デジタルの力を使えば、それらをさらに強化することができる。これこそがインドネシアをはじめとする東南アジアで起きていることであり、まさに、「半径5キロ圏内の問題解決から起きるイノベーション」といえるだろう。

坂田 幸樹 株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO

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さかた こうき / Koki Sakata

早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)、ITストラテジスト。大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。日本コカ・コーラを経て、創業期のリヴァンプ入社。アパレル企業、ファストフードチェーン、システム会社などへのハンズオン支援に従事。その後、支援先のシステム会社にリヴァンプから転籍して代表取締役に就任。退任後、経営共創基盤に入社。2013年にIGPIシンガポールを立ち上げるためシンガポールに拠点を移す。現在は3拠点、8国籍のチームで日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。

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