インドネシアの「個人商店」に起きている劇的変化 小売業界に変化もたらすスーパーアプリの正体

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消費者としては、そもそも決済手段が統一されていないので、店によって決済手段を選択する必要がある。紙のポイントカードやスマホアプリ、それぞれを管理するのも煩雑である。宅配をしてくれるかどうかもいちいち確認せねばならない。

日本にスーパーアプリが普及すれば?

インドネシアのようなスーパーアプリが普及すれば、こうした問題は解決される。データが一元的に管理されていれば、プラットフォームの共通化によるコスト低減や売り上げ機会の増加も図ることができるだろう。さらに、商店街が一体となった取り組みも始めやすくなるかもしれない。大型ショッピングモールに対抗するためのプロモーション施策を商店街が一体となって仕掛けるといったことである。

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たとえば、データ分析の結果、週末に大型ショッピングモールへ家族客が流れていることがわかったら、週末に商店街を挙げたイベントを企画してもよいだろう。ほかの商店街と連携して祭りなど街おこしのための大規模なイベントを開催してもいいかもしれない。 顧客側も決済システムやアプリが統一されていれば便利だ。

DMも消費者ごとに最適化されたものがまとめて送られてくるので、バラバラと送られてくるメールをいくつも読む必要がなくなる。また、家にいながらにして、生活に必要な食材や消費財を商店街の複数店舗にまとめて注文できたら便利だろう。

地元の商店街には、消費者の近くにいて、消費者の顔が見えるという強みがある。

デジタルの力を使えば、それらをさらに強化することができる。これこそがインドネシアをはじめとする東南アジアで起きていることであり、まさに、「半径5キロ圏内の問題解決から起きるイノベーション」といえるだろう。

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