インドネシアの「個人商店」に起きている劇的変化 小売業界に変化もたらすスーパーアプリの正体

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このようなパパママショップ支援事業には、ジャルムグループのような財閥のみならず、スタートアップも参入している。

たとえば、2018年に設立されたシンバッド(Sinbad)というスタートアップは、ブリブリミトラ同様にパパママショップ向けのEコマースを提供している。シンバッドはオリジナル商品を含む5000種類以上の商品を販売し、150都市以上のパパママショップに配送している。

シンバッドはメーカーから直接仕入れてパパママショップに販売をしているため、多層化したサプライチェーンの打破を実現している。また、シンバッドはクレジットでの販売をすることで、パパママショップの資金繰り改善にも貢献している。そして、当然これらの取引データはすべてシンバッドが一元的に管理している。

なぜ多くの企業がパパママショップのデータ収集に注力しているのかというと、それが大きな変革を生む力になるからである。

デジタル技術が今ほど発達していなかった時代には、図の左側のようにコンビニチェーンやスーパーマーケットチェーンが独自に縦割りのサプライチェーンを構築する必要があった。しかし、現代では図の右側のように、サプライチェーンをレイヤー構造でとらえて、パパママショップのデータを集約することで横割りの大規模な改革を進めることができるのである。

日本の商店街が抱える「問題」

インドネシアの場合、こうした新しいサービスが非効率な流通や既得権益を破壊しつつある。日本ではどうだろうか。

日本では〇〇ペイや〇〇ポイントといった決済サービスやポイントプログラムが乱立している。結果として、それぞれのサービス提供者が消耗戦を繰り広げていて、社会全体のDXにつながるような動きにはなっていない。

また、日本の商店街は一見、手を組んでいるように見えても、実際にはやっていることがバラバラなことが多い。店によっては現金決済のみの取り扱いだったり、クレジットカードや交通系カードも使えたり使えなかったりと統一感がない。また、紙のポイントカードを発行している店もあれば、独自にスマホアプリを活用している店もある。さらに、配達を受けつけている店もあれば、受けつけていない店もある。

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