英国人、「おもてなし至上主義」日本に違和感 わざわざ海外に「もてなされ」に行きますか?

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さて、ここまでですでに、「おもてなしで観光立国」ということが、極めて難しいことに気づいていただけたのではないでしょうか。外国人観光客はあくまで、自然や文化、歴史などの、観光資源を楽しみにやってきます。「おもてなし」は「あったほうがいいけど、なくても致命的ではない」程度の特徴でしかないのです。

ですが、問題はそれだけではありません。実は、日本の「おもてなし」は、外国人観光客にとっては必ずしも「おもてなし」になっていない可能性があります。

「おもてなし」の2つの特徴

世界には242の国と地域があり、72億人もの人が生活しています。国ごとに、いえ、国の中でさえ、その価値観には違いがあります。そんな中で、日本人がよいと思う「おもてなし」が、世界中のすべての人に受け入れられ、評価されるでしょうか?

日本の「おもてなし」には特徴があります。その最たるものは、「無償」であること。米国のように、客に対してここまでやればこのくらいのチップを払ってもらえるのは当然だ、というような打算はありません。

さらに、客などに求められてやるというものではなく、あくまで「自主的に、自分の頭で考えて行う」というのも、特徴のひとつです。

こう言うと、日本人の方は、「やっぱり、日本の『おもてなし』はすばらしいじゃないか」と思われるかもしれません。ですが、文化や価値観、考え方の違いで、別の評価が下される可能性もあるのです。

まずは、「無償」ということを考えるために、チップという文化がない日本と、チップが当たり前の米国を比べてみましょう。チップも含めた米国のサービス価格と、日本のサービス価格が、ほぼ同じだと考えてみてください。たとえば、米国で食事30ドル、チップ5ドルのサービスは、日本では35ドルになります。チップが当たり前の国に住んでいる人なら、当然そう考えます。すると、チップの有無は、価格の構成比の違いになります。

米国では、客がサービスのよし悪しを判断してチップを支払います。これは、サービスが悪ければそれについての対価を払わないという拒否権を、客が持っていることになります。

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