「部下が育たない上司」がやりがちヤバい目標設定 ノルマを「達成したい目標」に変える2つの方法

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ここからは、具体的にどのように目標を分解するのかを解説する。最初に目標を「対象」と「基準」に分けて、その後で「方法」に落とし込むのがポイントだ。例として「顧客満足度を上げる」という目標で考えてみよう。

(画像:『マネジャーのための人事評価で最高のチームをつくる方法』)

1、対象

対象とは「それって何?」ということだ。つまり、「顧客満足度とは何を指すのか?」を定義する必要がある。これが曖昧だと、評価の際にズレが生じてしまう。対象を分解する際は、「量と質」、あるいは「プロセスと結果」という観点を用いるとうまくいく。対象は、量(何社の顧客に満足してもらえたか)と質(大いに満足してもらえたか)に分解することもできるし、プロセス満足度と結果満足度という分解もできる。

2、基準

基準とは「対象をどう見るか?」ということだ。「どんな物差しで顧客満足度を測るのか?」「どの目盛を超えたら達成なのか?」といったことが明確になっていないと、上司と部下の間で「できた・できなかった」の認識が一致しない。「量と質」の観点で基準を分解するなら、「顧客満足度アンケートで、担当顧客10社のうち7社以上(量)で満足度8点以上(質)の回答を得る」などが一例になる。

3、方法

方法とは「どんな行動によって達成を目指すのか?」ということだ。7社以上から満足度8点以上の回答を得るためにはどんな行動が有効だろうか? これは、部下の実績や能力によって変わってくる。

量よりも質に強みを持つ部下なら、質を落とさずに量を増やせるよう「業務標準化による効率改善を毎月○件実行する」などが良いだろう。量に強みがあるが質が安定しない部下なら、「ダブルチェック実施率○%」などが一例になる。

部下の可能性を

目標設定において納得感を醸成することで、「自分はこんな成長を望んでいない」「こんな評価は納得できない」という不満は減らせるだろう。目標を分解して、成長実感を得やすくすることで、「成長を感じられないから辞めようかな」という部下も減らせるはずだ。

マネジャーのための人事評価で最高のチームをつくる方法 「査定する場」から「共に成長する場」へ
『マネジャーのための人事評価で最高のチームをつくる方法 』(翔泳社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

さらに、一度成長実感を得られれば、「また同じような経験がしたい!」「あれもできるようになりたい!」というように、もう一度成長の喜びを感じたくなるものだ。離職を防ぐだけでなく、さらなる成長に向けて、部下の可能性を引き出すきっかけになるだろう。

今回解説したポイントを意識して目標設定を見直してみてほしい。

川内 正直 リンクアンドモチベーション 常務執行役員

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かわうち まさなお / Masanao Kawauchi

組織人事領域のコンサルタント・プロジェクトマネジャーとして顧客企業の変革を成功に導く傍ら、新拠点立上げ、新規事業「モチベーションクラウド」の拡大などを牽引。2010年、同社執行役員に当時最年少で着任。グループ会社の取締役を経て、2018年、同社取締役に就任。組織開発、人材開発などのテーマで経営者やビジネスパーソン向けセミナー・講演や各種メディアへの寄稿多数。著書に『マネジャーのための人事評価で最高のチームをつくる方法』(翔泳社) 。

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