「部下が育たない上司」がやりがちヤバい目標設定 ノルマを「達成したい目標」に変える2つの方法

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■達成可能性(can):やれそう!を高める「マイルストーン効果」

目標の意義を理解しても、その目標が「自分には実現できそうにない」と感じると、やる気が起きなくなってしまう。人は、達成可能性を感じることでモチベーションが高まるのだ。部下に達成可能性を感じさせるためには、目標を分割することが重要だ。

とてもたどり着けないと思う遠い場所でも、マイルストーン(1マイルごとに置かれている石)をたどればいずれ到達できるのと同じ。ゴールまでのプロセスを明確にしたうえで、途中に実現可能性が高い小さな目標を設定するとよい。

■危機感(must):やらなきゃ!を高める「コミットメント効果」

「明日は絶対遅刻するなよ」と言った人は、言った手前、自分が遅刻するわけにはいかなくなる。このように、自分の行動を一貫したものにしようとする心理的な圧力を「コミットメント効果」と言う。目標設定においても、コミットメント効果を活用することで「絶対にやり抜かなければいけない」という危機感が生まれ、モチベーションを維持しやすくなる。

目標設定では、この3つを意識することで、成長意欲を高めることができる。

「目標=ノルマ」と捉えている管理職は少なくないが、両者はまったく異なる意味を持つ。良い目標設定は、自分自身で追いかけるものを掲げ、主体的に働き、より能力を解放していくためのものである。一方で、ノルマは、誰かが決めたものを強制的に押し付けられるというニュアンスが強い。そのため、目標設定の際にノルマという言葉を使うべきではない。

一方的に押し付けるのではなく、目標の魅力(will) × 達成可能性(can) × 危機感(must)のすり合わせを通して、部下が「挑戦してみよう!」と成長意欲が湧き上がるような目標設定を心がけたい。

目標を分解して部下が「成長実感」を持てるようにする

部下が「成長実感」を得られるようにするためには、まず「SMART」のフレームワークで目標を明確化することが有効だ。以下のS・M・A・R・Tの要素を満たす目標を設定してほしい。

■S(Specific/具体性)

何をやるべきなのかを具体的にすることだ。例えば、「○○を効率化する」ではなく、「○○の作業を機械化し、所要人数を○人削減する」というように効率化する内容を明確にするのがポイントだ。

■M(Measurable/測定可能性)

数値化・定量化して測れるようにすることだ。具体的には、「○○を向上させる」ではなく、「○○の発生率を○%まで低減させ、生産性を○%アップさせる」というように、目標達成度の目安や実行頻度などの測定指標を示すことが大切だ。

■A(Achievable/達成可能性)

現実的に達成可能であるかどうかという観点だ。「絶対にミスをしない」という目標は立派だが、達成可能性は低い。「ミス発生率を○%まで低下させる」など、リカバリーの余地がある目標にするのが望ましい。

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