60歳過ぎてもやけに元気な人が食べているモノ 最も効率的にたんぱく質を摂取できる方法

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ダイエットなどで肉を食べない人が、イライラしたり、ネガティブな気持ちになりやすいのは、こうしたメカニズムがあるからこそ。

トリプトファンの含有量が多い肉は、豚肉ロース赤肉が100gにつき240mg、牛肉肩ロース赤肉が100gにつき230mg、鶏むね肉皮付きが100gにつき230mgになります。最近、元気がないというときは、これらの肉を食べると元気が出てくるかもしれません。

さらに、数あるたんぱく質の中でも、肉は男性ホルモンを活発化し、人を行動的にする働きがあります。

昨年90歳になられた登山家として知られる三浦雄一郎さんは、その若々しさや活力の多さで知られる人物ですが、いまだに500gのステーキをペロリと平らげるそうです。その他、99歳まで生きた作家の瀬戸内寂聴さんや105歳までご存命だった医者の日野原重明さんも大の肉好きであったことが知られています。

高齢者施設などに行っても、かくしゃくとしてアクティブな高齢者は、いくつになっても肉好きな人が多い傾向にあります。多くの高齢者たちを見ていると、いつまでも元気でいたいなら肉を避けるべきではないのだと感じます。

ビタミンB群が豊富な肉の摂取で認知症を予防

60代くらいになると、少しずつ物忘れが増え、人によっては軽度の認知症を発症することもあります。認知症対策として積極的に食べてほしいのが、ビタミンB群を含む食材です。

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認知症の要因の1つは、体内で生成されるホモシステインという物質です。ホモシステインは、必須アミノ酸と言われるメチオニンが代謝する際に生まれる物質で、人間の体には必ず発生しますが、血液中で増加すると、脳卒中や心疾患の他、アルツハイマー型認知症のリスクが上がると言われています。

ただ、このメチオニンの代謝を促進して、ホモシステインを無害なものに変えるとされるのが、葉酸やビタミンB6、ビタミンB12などのビタミンB群です。

そして、ビタミンB群は、豚肉を中心とした肉類や魚やレバー、ホウレンソウ、ブロッコリー、枝豆などに多く含まれます。つまり肉を日頃から意識的に摂っておくことで、認知症リスクが下げられるのです。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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