ジャニーズ・BM問題で浮上「同族経営」は悪なのか 実は日本企業の9割はファミリービジネスだ
8月30日に92歳で亡くなった資生堂の福原義春名誉会長は、「良き院政」の典型ではなかっただろうか。同氏は、創業者である福原有信氏の孫として、幼年期から「資生堂の文化」を体得してきた。
筆者はかつて福原氏と親しかった作家と共に仕事をしていたことがあり、エッセイスト、詩人でもある福原氏の粋なセンスに触れる機会に恵まれた。キャンペーン宣伝で具現化したブランド重視の姿勢や、エッセイからも「文化」が感じられた。
重要なのは「尊敬できるトップ」かどうか
だが、いわゆるお坊ちゃまの趣味で終わらなかった。現役時代には、戦略的経営者としても剛腕を発揮。フランス、ドイツに現地法人を設立し、中国にも進出するなど海外市場に進出し、グローバルと企業資生堂の下地を築いた。
福原氏の社長(1987〜97)、会長(1997〜2001)時代に築いたブランド力、グローバル化は、急成長の礎となった。そして名誉会長に就任して以降も「任せて、任せる」という姿勢を貫く。その結果、資生堂の中で福原氏は尊敬され続けた。
もちろん「そうではない」という声も聞こえてきそうだが、大企業においては「尊敬できるトップ」がいるという無形資産は、大きな求心力になる。
トップが強力な統率力を発揮するには、無形資産の尊敬される「権威」とマネジメント・ツールである「権力」の両方が求められる。福原氏の場合は、その両方をうまく活用できた例と言えよう。対して、ジャニーズ事務所とビッグモーターのトップは、この無形資産を構築できず、権力も失ってしまった。
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