ジャニーズ・BM問題で浮上「同族経営」は悪なのか 実は日本企業の9割はファミリービジネスだ

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絶大な権力を持ったとき、注意しなくてはならないのが権力の乱用である。とくに株式所有比率が高い筆頭株主になり、所有と経営が一致しているファミリービジネス(同族企業)の場合、創業者だけでなく創業者の虎の威を借る狐(子息など創業家出身者)が悪しき独裁者になる可能性がある。その典型例がビッグモーターだろう。

権力の乱用が犯罪に相当する反社会的行為に及べば、権力の誤用である。ジャニーズ事務所の創業者は、権力をちらつかせ、自身の欲望を満たすため性加害に走った。

こうした中、ジュリー氏は「ジャニー氏の性加害の事実を巡る対応についての取締役としての任務の懈怠があることも踏まえ」、8月29日に自ら設置した「再発防止特別チーム」において、ジャニーズ事務所代表取締役からの辞任を求められた。それを受け入れたものの、取締役として残ることになった。ジュリー氏は現在のところ同社の全株式を持つ。

この点は、ビッグモーターも同様。兼重宏行(元社長)・宏一(元副社長)親子の資産管理会社が同社の株式を100%保有している。「資本構造はそうだが、私も息子も経営にいっさい関与することはない」と兼重氏は7月25日の記者会見で強調したが説得力に欠ける。

「同族企業=ダメ」は本当か

このように、ファミリービジネスが起こした不祥事が続くと、「そんな古臭い経営をしているから日本経済はだめになってしまったんだ」という声が聞こえてきそうだ。株主重視経営の色彩が濃くなってきている昨今となっては、そのような声が一層大きくなる。

一部のジャーナリストや文筆家が、いくつかの失敗例をあげて「同族企業だからだめなのだ」と断定する傾向は変わっていない。長年、膨大なデータに基づきファミリービジネスを研究している経営学者は、この点をよく批判する。

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